創成科学研究科(理学系)の元木業人助教(テニュアトラック)を含む研究チームが巨大原始星から吹き上がるガス流の回転を捉えることに成功しました
創成科学研究科(理学系)の元木業人助教(テニュアトラック)、国立天文台/総合研究大学院大学の廣田朋也助教を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を使って、オリオン大星雲の中に潜む巨大原始星「オリオンKL電波源I(アイ)」を観測し、原始星から勢いよく噴き出すガス(アウトフロー)が回転していることをはっきり捉えることに成功しました。その回転は巨大原始星を取り巻くガス円盤の回転と一致しており、円盤の遠心力と磁場の力によってアウトフローが宇宙空間に押し出されていることを示す、確固たる証拠といえます。一般に回転の遠心力が強いと円盤中のガスは星に落ちることができません。そのため星がガスを飲み込んで成長するためには邪魔な回転の勢い(角運動量)を取り除く必要があると考えられて来ましたが、今回の観測で実際にアウトフローが余分な角運動量の大部分を円盤の外へ持ち去っていることを示すことができました。巨大原始星の誕生メカニズムには謎が多く残されていますが、回転しながら噴き出すガスを明確に描き出した今回の観測成果は、その謎の解明に大きく一歩を踏み出すものといえます。
この研究成果は、科学雑誌『ネイチャー・アストロノミー』オンライン版に6月13日(日本時間午前0時)に掲載されました。
アルマ望遠鏡で見たオリオンKL電波源Iの電波写真。星を取り巻く高温のガス円盤(赤)と
円盤上から双方向に吹き上がるアウトフロー(青)の様子がよくわかります。今回の観測で
はアウトフローが根元の円盤と同じ向きに回転しながら吹き上がる様子を鮮明に捉えるこ
とができました。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
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