双極性障害(躁うつ病)とうつ病の前頭葉体積の違いが明らかに~MRIにより診断の判別が可能となることに期待~
山口大学大学院医学系研究科の松尾幸治准教授、山形弘隆講師らのグループは、感情や思考の調節をするとされる脳の重要な部位、前頭葉に着目し、頭部MRIによる画像診断の分析を行い、類似した症状を見せる、双極性障害(躁うつ病)患者とうつ病患者のうつ状態における前頭葉の特定部位の体積の違いを明らかにしました。この研究は山口大学の他、広島大学、国立精神・神経医療研究センター、北海道大学、テキサス大学などの研究協力機関を通じ国内外における大規模な参加者の協力を得て、MRIを用いた研究報告としては、これまでにない大規模なものです。
脳や心の病である精神疾患を抱える人は、日本国内で323万人にものぼり(およそ40人に1人の割合)、生涯を通じて5人に1人が精神疾患にかかると言われています。また、精神疾患は特別な人がかかるものではなく、誰でもかかる可能性がある身近な病気と言われており、病気の根本的な原因の解明が期待されているところです。
今後、頭部MRI検査による客観的かつ的確な診断や、この度の研究で体積に違いがみられた部位である背外側前頭皮質や前帯状皮質などをターゲットとした、新たな治療法の開発につながることが期待されます。
この研究成果は『Cerebral Cortex』(IF=6.559 (2016))にオンライン掲載されました(doi:10.1093/cercor/bhx319)。
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