固形がんに対して高い抗腫瘍効果を発揮する『PRIME 技術』のTCR-T細胞への応用と免疫チェックポイント阻害薬との併用による新たな治療法の開発
山口大学大学院医学系研究科免疫学講座の玉田耕治教授、佐古田幸美准教授、安達圭志講師とノイルイミューン・バイオテック株式会社の研究グループによる共同研究の成果に関する論文が、国際的学術誌『Molecular Cancer Therapeutics』電子版に2021年10月21日付けで公開されました。山口大学が保有するPRIME技術に関する論文成果です。
山口大学とノイルイミューン・バイオテック株式会社は共同で、サイトカインであるIL-7とケモカインであるCCL19の両方を同時に産生する能力(PRIME技術)を有する次世代型CAR-T細胞(PRIME CAR-T細胞)の研究開発を精力的に進めています。この度、新たにPRIME技術を搭載した TCR-T細胞(PRIME TCR-T細胞)を開発し(図1)、従来のTCR-T細胞では十分な効果の得られなかったマウス固形がんモデルに対して強力な抗腫瘍効果を発揮することを明らかにしました。これによりPRIME技術はCAR-Tだけでなく他の細胞療法にも応用できることが実証されました。
研究の詳細はこちら
図1.PRIME TCR-T細胞のイメージ
論文情報
論文タイトル |
: | Enhanced anti-tumor responses of tumor antigen-specific TCR-T cells genetically engineered to produce IL-7 and CCL19 |
雑 誌 名 | : | Molecular Cancer Therapeutics |
著 者 名 | : |
Yoshihiro Tokunaga, Takahiro Sasaki, Shunsuke Goto, Keishi Adachi, Yukimi Sakoda and Koji Tamada |
D O I |
: |
10.1158/1535-7163.MCT-21-0400 |
Pubmed URL | : | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34675119/ |
論 文 概 要 |
: | (1) | PRIME技術を搭載したTCR-T細胞によりマウス固形がんモデルに対して抗腫瘍効果を示すことを明らかにした |
(2) | 免疫チェックポイント阻害薬とPRIME CAR-T細胞またはPRIME TCR-T細胞の併用が優れた治療効果を示すことを明らかにした |