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大学院創成科学研究科化学系専攻の伊藤日咲さんと荒井万由子さんが、2024年日本化学会中国四国支部大会岡山大会の口頭発表において学生優秀発表賞を受賞しました
(令和6年12月26日掲載)
大学院創成科学研究科(工学系)博士前期課程化学系専攻1年の伊藤日咲さんと荒井万由子さん(共に中山・吉田航研究室)が、令和6年11月16−17日に岡山大学津島キャンパスで開催された「2024年日本化学会中国四国支部大会」口頭発表において学生優秀発表賞を受賞しました。
伊藤さんが受賞した発表は、「リグニン由来Fe担持グラフェン電極触媒による選択的硝酸−アンモニア変換」で、グリーンアンモニア製造のための硝酸還元電極触媒に関する研究です。アンモニアが産業において必要不可欠な化学物質である一方、硝酸イオンは主要な水質汚染物質であり、その除去による窒素サイクルの正常化が求められています。そこで、伊藤さんらは電気化学反応によって硝酸イオンをアンモニアに変換する技術に着目しました。
本研究は高知大学・森勝伸研究室との共同研究であり、バイオマスであるリグニン由来の鉄担持グラフェンを電極触媒として用いることで、高い選択性で硝酸イオンをアンモニアに変換することに成功しました。
今回の受賞について伊藤さんは、「この度はこのような賞を頂戴し、大変嬉しく思います。発表の際には他大学の先生方からアドバイスをいただき、非常に充実した時間になりました。今回の経験をもとに、今後も研究活動に力を入れて取り組みます」と述べています。
荒井さんが受賞した発表は、「ニッケルと銅を骨格に組み込んだタングステン酸化物を電極触媒に用いた高効率アンモニア分解」です。この研究は水素社会実現のためのアンモニア電気分解の触媒開発に関するものです。ここではアンモニアを効率的に水素に分解するだけでなく、また窒素酸化物ではない無害な窒素のみを副生する技術が望まれます。
本研究では、タングステン酸化物骨格に役割の異なるニッケルと銅を原子レベルで複合化することにより、電気化学的アンモニア酸化反応に対して優れた活性と窒素選択性をもつ触媒の合成に成功しました。なお、本研究は株式会社トクヤマとの共同研究の成果です。
今回の受賞について荒井さんは、「この度はこのような賞を頂戴し、大変嬉しく思います。今回の受賞を励みに、本触媒をアンモニア電解のアノード電極としての実用化を目指して研究活動を行っていきたいと思います」と述べています。
伊藤さんと荒井さんのますますの活躍を期待するとともに、本学は今後も学生の研究活動の支援に努めてまいります。
受賞した伊藤日咲さん
受賞した荒井万由子さん