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    ホーム > 新着ニュース > 2021年 > 国際連携で挑むタマネギゲノム解読‐経済的に重要な高等植物種の巨大なゲノムを読み解く‐

    国際連携で挑むタマネギゲノム解読‐経済的に重要な高等植物種の巨大なゲノムを読み解く‐

     山口大学大学院創成科学研究科(農学系学域)の執行正義教授のグループは、東北大学大学院生命科学研究科の佐藤修正教授、かずさDNA研究所ゲノム情報解析施設の平川英樹施設長、農研機構の藤戸聡史研究員(野菜花き研究部門)、塚崎光グループ長(東北農業研究センター)、東京農業大学の峯洋子教授、田中啓介助教等との共同研究により、シャロットとタマネギの倍加半数体間のF2分離集団等を用いて次世代シーケンサによる発現遺伝子の網羅的解析を実施しました。その結果、約4,400個の発現遺伝子を8本の染色体に対応した遺伝地図上に整列化させることに成功しました。本研究成果は、2021年6月26日付で国際科学雑誌BMC Genomics電子版に掲載されました。さらに、執行教授と佐藤教授はオランダ ワーゲニンゲン大学との共同研究を実施し、上述の発現遺伝子の並び方を全ゲノム配列情報と比較検討し、両者間に高い相関があることを見出しました。BMC Genomicsに掲載された成果により、オランダの全ゲノム配列情報の確からしさが立証され、世界で初めて高品質なゲノム配列情報を発表するに至りました。この研究の成果は、2021年7月13日付で米国遺伝学会雑誌G3: Genes, Genomes, Genetics電子版に掲載されました。これら続けて公開された2つの学術論文に記される研究成果は、巨大ゲノムをもつタマネギの植物としての成り立ちを議論する上で重要な基礎的知見を与えるとともに、ゲノム編集等による分子育種研究を進める上で有効な情報資源と成り得ます。

     

     研究の詳細はこちら

     

      

    タマネギ高密度遺伝地図

    タマネギシュードモレキュール

       

     

     【発表のポイント】

    農業分野では、栽培品種の育種目標が多様化する中で、ゲノム配列情報に基づく育種技術の開発が求められている。
    ヒトのゲノムは約30億の塩基対からなっているが、タマネギは、なんとヒトの5倍以上もの約160億塩基対からなっている。祖先種や近縁種を含むタマネギを人類が栽培してきた歴史は数千年以上と非常に長く、現在まで世界中の様々な地域の伝統的な知識や知恵と相まって栄養豊富な健康食材として利用され続けている。しかし、ゲノムサイズの巨大さゆえ、分子生物学手法に基づく大規模な研究はなされておらず、タマネギのもつ魅力的な形質とゲノム情報との関連が未だ不十分である。

    ゲノムのシークエンス解析では、大量のゲノム配列を細切れにし、お手本となる基準ゲノムと照らし合わせて解読する場合が多い。一方、基準ゲノムのないタマネギを基準ゲノムを必要としない解析手法であるde novo Genome Assembly(参照配列を必要としない配列貼り合わせ)で解読しても、ゲノムの巨大さと複雑さゆえ塩基配列情報の並び順を決定することは難しい。そこで、山口大学、東北大学等からなる国内研究グループは発現遺伝子に関する配列情報を集めることに注力し、異種染色体添加系統を用いて約25,000種類の発現遺伝子の座乗染色体を決定し、さらに倍加半数体系統の特性を活用し、それらの並び方を正確に反映した高密度遺伝子地図情報を整備することに世界で初めて成功した。さらに、この遺伝地図情報がお手本として一役買い、2021年に日本(山口大学を代表とするグループ)とオランダの共同研究グループがタマネギの全ゲノム解読に世界で初めて成功した。

    本研究により、タマネギの全ゲノム配列が高精度に明らかになったことで、高等植物におけるゲノム巨大化のメカニズム解明を進めやすくなる。また、整備された配列解析情報に基づく育種技術の開発が期待される。

     

    【謝辞】 

    一つ目の研究は、以下のサポートを受けて実施されました。

    平成26~28年度 日本学術振興会科学研究費 基盤(B)ネギ属バイオリーソースを用いたオミクス統合解析のタマネギ育種への応用(研究課題番号:26292020)
    平成29~31年度 農林水産省戦略的国際共同研究推進事業(ロシアとの共同公募による共同研究分野)ロシア極東用ネギ属品種育成に向けた分子テクノロジー開発と日露の遺伝資源調査

    令和2~4年度 農林水産省戦略的国際共同研究推進事業(ロシアとの共同公募に基づく研究分野)ネギ属種におけるオミクスおよび分子細胞遺伝学手法を用いたロシアと日本の遺伝資源開発

    平成26年度 東京農業大学生物資源ゲノム解析センター 共同利用・共同研究拠点 ネギ類の分子育種と機能性開発を目的とした染色体添加系統の遺伝子発現解析

     

    二つ目の研究は、以下のサポートを受けて実施されました。

    平成28年度 農林水産省国際共同研究推進事業 オランダ遺伝資源センターの植物遺伝資源に係る海外との共同研究に向けた調査研究
    平成29~31年度 山口大学重点連携大学事業 ワーゲニンゲン大学(WUR)と山口大学(YU)の交流推進プロジェクト

      

    【論文題目】 

    (研究論文1)  

    題  目

    Construction of a high-density linkage map and graphical representation of the arrangement of transcriptome-based unigene markers on the chromosomes of onion, Allium cepa L.

    著  者

    Satoshi Fujito, Turgut Yigit Akyol, Takuya Mukae, Tadayuki Wako, Ken-ichiro Yamashita,

    Hikaru Tsukazaki, Hideki Hirakawa, Keisuke Tanaka, Yoko Mine, Shusei Sato, Masayoshi Shigyo

    雑  誌

    BMC Genomics

    D O I

    https://doi.org/10.1186/s12864-021-07803-y

    U R L https://link.springer.com/article/10.1186/s12864-021-07803-y/fulltext.html

     

    (研究論文2)  

    題  目

    Insights from the first genome assembly of onion (Allium cepa)

    著  者

    Richard Finkers, Martijn van Kaauwen, Kai Ament, Karin Burger-Meijer, Raymond Egging, Henk Huits, Linda Kodde, Laurens Kroon, Masayoshi Shigyo, Shusei Sato, Ben Vosman, Wilbert van Workum, Olga Scholten
    雑  誌

    G3: GENES, GENOMES, GENETICS

    D O I

    https://doi.org/10.1093/g3journal/jkab243
    U R L https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.03.05.434149v1.full.pdf
    PR@WUR https://www.wur.nl/en/Research-Results/Research-Institutes/plant-research/show-wpr/Onion-genome-finally-reveals-its-secrets.htm

     

     

      

     

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