山口大学農学部 農学部

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てんぐ巣病から救え!!

生物資源環境科学科・助教 佐々木 一紀

 春の訪れとともに一斉に咲く桜、とても奇麗ですよね。皆さんは全国各地の桜、特にソメイヨシノがてんぐ巣病という病気に侵されていることを知っていますか。てんぐ巣病になった桜は、通常満開となる時期に花が咲かず、枝が密生し葉が生い茂ってしまいます。この様子がまるで天狗が住んでいそうなことから、てんぐ巣病と呼ばれています。サクラてんぐ巣病は、植物病原菌であるTaphrina wiesneri(タフリナ ウィースネリ)というカビが感染することによって引き起こされます。感染した桜の葉の裏にはカビがニョキニョキと生えて大量の胞子がつくられ、これが周りの桜へ飛んでいき感染が拡大してしまいます。山口県内の桜を調査したところ、全域でてんぐ巣病が発生していました。現在山口県内各地からてんぐ巣病菌を60菌株集めてきて、病気を引き起こす菌はすべて同じものなのか?はたまたタイプの違う菌なのか?を遺伝子を解析して調べています。

てんぐ巣病にかかった桜

 

 植物の病気の対策には、予防法と治療法の2つがあるのですが、サクラてんぐ巣病には予防法はありません。治療法はてんぐ巣病になった枝を切り落として、農薬を塗る方法が1つあるのみです。しかし、てんぐ巣は木の高いところにもできるため、1つずつ切って治療することはとても大変です。今はない予防法を開発できれば、桜をてんぐ巣病から救えると考えています。そのためには、なぜ病原菌が桜に感染するのか?どうやっててんぐ巣になるのか?を知ることが大切です。そのメカニズムを明らかにすることで新しい予防法を開発していきたいと考えています。

てんぐ巣病にかかった桜の葉の裏の様子(子嚢と子嚢胞子)

 

てんぐ巣病にかかった桜をサンプリングする学生


 

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