山口大学農学部 農学部

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土の謎を解明して
地球環境から地域環境まで

生物資源環境科学科・准教授 柳 由貴子

地球温暖化の軽減を目指して〜土壌有機物の安定化メカニズムの解明〜
 土壌中の有機物は、大気中CO2の約2倍、陸上植物全体の約3倍もの炭素を含んでいて陸上生態系の中で最大の炭素貯蔵庫です。また、植物の養分を保持する力や土壌の保水性をよくする力などがあり、植物の生育には欠かせないものです。この土壌有機物が土壌中の微生物によってどんどん分解されていくと、地球温暖化は加速的に進行し、食糧生産にも影響が出ることが予想されます。その様なことにならないよう、土壌有機物を保全しながら活用することが世界的に求められています。私たちの研究室では、土壌有機物の微生物による分解作用に対する抵抗性の要因や土壌微生物による分解過程に関する研究を通じて、土壌有機物を安定的に貯留させるためのキーポイントを明らかにすることを目指しています。

 

有機物分解に伴うCO2発生量の測定

 

地域生態系の維持や農業利用の改善に向けて〜秋吉台の土壌生成過程の解明〜
 秋吉台は山口県内陸部に位置する日本最大級の石灰岩台地で、石灰岩が雨水に溶けてできた特徴的なカルスト地形や山焼きにより維持される草原が広がり、観光地としてだけでなく生物多様性維持の観点からも重要なエリアです。また、その周辺では、美東ごぼうや秋芳梨といった農産物が生産されています。秋吉台の石灰岩上には数m程度の土壌が存在していますが、この土壌を理解することは秋吉台の生態系の維持や農業利用にとって非常に重要になります。しかし、昔から石灰岩由来と考えられてきた秋吉台の土壌については、近年では黄砂や火山灰が含まれていることが明らかとなりましたが、土壌がどの様にしてできたのかその詳細はよくわかっていません。そこで、秋吉台の土壌の性質や含まれる鉱物などを研究することで、秋吉台の土壌生成過程を理解し,保全と利活用につなげることを目指しています。

秋吉台の土壌断面と土壌調査の様子

 

 

 

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