山口大学農学部 農学部

本学への寄付

月刊農学部長 第61号

月刊農学部長 第61号

7月 課外活動と海外交流の全面解禁 

 コロナ禍の3年間で最も思うようにできなかったのは,学生の課外活動と教員の国際展開活動でした。今年度に入って,やっとこれらの活動もほぼ以前の状態に戻りました。例えば,6月中旬には、飲食も許可された七夕祭が実施され、大学らしい賑やかなイベントが戻ってきました(写真:大学祭のステージ企画)。

 教員の海外展開活動もやっと軌道に乗ってきました。ホテル代・飲食代の高騰が著しく,予算の確保には頭を痛めていますが,徐々に海外の学会等に出向く教員も増えています。また円安の影響でしょうか,海外から日本を訪れる研究者は急増しているようです。今年度になってから,学部長室にも3大学からの表敬訪問がありました。最初は,タイのコンケン大学・技術学部のAraya学部長(左写真)以下3名(https://www.yamaguchi-u.ac.jp/agr/news/3607/index.html),次にタイのスラナリー工科大学農業科学部のNeung学部長以下7名(https://www.yamaguchi-u.ac.jp/agr/news/4006/index.html ),そして先日はエジプト・カイロ大学の元農学部長El-Shemy教授(写真左)が訪れました。

 彼らと懇談している中で切実に感じることですが,「日本は科学技術およびそれに関する教育が先進していて,彼らはそれを学びに来る」という昔の構図は通用しません。むしろ彼らの方が先進しているところがたくさんあり,我々は多くを学ばなければなりません。特に情報のデジタル化とキャンパス内の多様性については,日本全体が大きく遅れている感じがします。

 例えば,初対面で交わす名刺です。私の名前,役職,アドレスなどの表面的な情報が日本語と英語で書き込まれています。タイのコンケン大学の皆さんは,ネームカードを首に下げていて,「私の情報はこのカードのQRコードを読み取って」と提示されました。スマホで読み取ると,HP等に飛び,様々な情報を取得することができました。

 カイロ大学のEl-Shemy教授の話で驚いたのは,学生数が約25万人(26学部)いる点です。山口市の人口以上の若者が世界中から集まって,人種も言葉も宗教も超えて多様な集団の中で学んでいると聞きました。両大学とも日常会話は母国語でも大学の講義は英語で行われると話していました。

 山口大学もダイバーシティーキャンパスを標榜して,英語教育にも力を入れていると宣伝していますが,やはり世界のスタンダードから大きく取り残されています。大学共通テストに英語のリスニングを導入し,情報科目をほぼ必修化したここ20年の大学入試改革は,政府の危機感の表れなのでしょう。我々も本気で意識を変えないと,本当にガラパゴス化してしまいそうです。

 

 

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