本科
経営学は成立してから100年ほどの社会科学の中では比較的新しい学問です。高度産業化社会が到来し、その中心的担い手である企業に関わる問題を分析、理解することが必要になってきたことが、その背景にあります。今日では世界は高度情報化およびグローバル化が進展し、経営学の重要性と社会からの期待は益々高まっています。
経営学科は、このような時代要請に応え、豊かな社会づくりに貢献できる人材を育成するために、経営学の全体像を体系的に学び、専門的な知識を身に付けることができるように工夫しています。
企業経営の基本となる未来に向けての資源配分や競争優位の築き方を学ぶ経営戦略、組織や人材それに資産の管理について学ぶ経営管理、数理モデルで経営問題を探求していく経営情報システム、企業活動の結果を計数的に把握し、合理的な活動を展開するために必要な計算技法と計算制度の問題を扱う企業会計、商品の流通、マーケティング活動、保険等を学ぶ流通システム、といった分野に関する授業科目を設置しています。もちろん、経済学科、観光政策学科の授業科目を履修することもできます。
経営学科は「職業会計人コース」および「企業法務コース」を設置しています。職業会計人コースは公認会計士及び税理士の養成を、また企業法務コースは企業経営等と密接に関わりのある法律を中心に学ぶことを主目的とし、それぞれ別途専門のカリキュラムを用意しています。
職業会計人コース
職業会計人コースは、会計専攻と税務専攻の2専攻が設けられており、卒業に向けて勉強するとともに、公認会計士試験や税理士試験の在学中合格を目指すコースで、定員は合わせて40名です。日本や世界の会計・税務で活躍できる人材を育成するコースです。この会計資格は、ビジネスパスポートです。監査法人、税理士法人だけではなくコンサル等様々な分野で活躍できます。また、顧客の海外進出に伴い英語の必要性が高まっているので、一定の成績を修めた学生を在学中に海外英語研修(6週間)に校費で送り出しています。
両専攻とも、1年生後期12月から会計実習が始まります。専門学校と提携しており、大学の授業のない時間帯に会計実習講義が組まれています。大学の授業料とは別に実習費も必要です。開始時には、日商2級レベルの簿記の知識を前提としていますので、1年生前期からの勉強が必須となります。
専門学校ではありませんので、試験の受験勉強だけではありません。中心は会計や税務ですが、経営学科の科目を学び、ビジネスを理解する力の育成と資格取得の両立を目指します。また、2年から始まるゼミも重要な科目です。論文試験に受かるためにも、考え方をゼミで学ぶことを大切にしています。
公認会計士試験の合格者は監査法人へ、税理士試験の科目合格者は、税理士法人等に就職します。税理士試験の5科目合格者は自分で税理士事務所を開くことも出来ます。また、会計に関する幅広い専門知識や、日商簿記1級取得等の資格を武器に、金融業界などへ就職する学生も多々います。
1年生後期から4年生前期まで続く厳しい道のりですが、毎年、数人の学生が、輝ける在学中の合格者となっています。自分との闘いであるこのコースには苦労をした学生でないと味わえない喜びもあります。
企業法務コース
企業法務コースは、法律と経営の両方を学ぶコースです。経済学部に入学後、1年生の後期に行われる学科・コース振り分けで企業法務コースを選択すると、大学を卒業するために必要とされる専門科目の単位の6割強を法学系科目で取得できるようになります(※1)。
企業法務コースの法学系科目には、法理学・憲法Ⅰ・憲法Ⅱ・民法Ⅰ・民法Ⅱ・民法Ⅲ・民法Ⅳ・民法Ⅴ・刑法総論・刑法各論・刑事訴訟法・商法Ⅰ・商法Ⅱ・商法Ⅲ・商法Ⅳ・経済法・知的財産権法・社会法Ⅰ・社会法Ⅱ(※2)・民事訴訟法・行政法Ⅰ・行政法Ⅱ・税法Ⅰ・税法Ⅱがあり、法学を体系的に学べるようになっています。また、企業法務コースの学生は、法学系のゼミに所属して法学系のテーマで卒業論文を書きます(※3)。
企業法務コースは、銀行をはじめとする民間企業に就職したい人はもとより、公務員志望の人にもおすすめです。公務員試験で「主要5科目」といわれるのは、憲法・行政法・民法・経済原論(ミクロ経済学とマクロ経済学)・数的処理ですが、経済学部生としてミクロ経済学とマクロ経済学の基礎を学んだうえで憲法・行政法・民法もじっくり学べる企業法務コースのカリキュラムは、公務員志望者には打ってつけでしょう(※4)。実際のところ、学科・コース振り分けの際に企業法務コースを選ぶ人の中には公務員志望の人が少なくないのです。
※1:取得する法学系科目の単位数を5割弱に留めることもできます。
※2:「社会法」の授業内容は「労働法」が中心です。
※3:山口大学経済学部では、すべての学生がゼミに3年間所属して卒業論文を書きます。
※4:企業法務コースの授業は公務員試験対策を目的としたものではありません。なお、山口大学ではキャンパス内で大学生協と専門学校の公務員試験対策講座(有料)が開講されており、多くの学生がそこで勉強しています。