観光政策学科

 経済学部教育の成果を基礎にした実践的な応用政策として観光政策があり、本学科は「旅」という人の社会的行動を経済学で科学することに挑む意欲的な教育研究のねらいから生まれました。

 観光は私企業のレベルを超えて、国・地域のレベルで裾野の広い社会的効果をもたらします。国際親善や地域住民の厚生といった公益的な効果、国民経済や地域経済の発展という経済的な効果、自然や社会の環境を保つ環境効果などがそうです。観光政策学科では、観光客・観光産業・観光資源の3者の関係を体験的に理解し、検証に耐える企画立案の能力を培うとともに、国際化が進む社会で地域と世界を結びつけ、人間としての総合力を「観光力」として身につけることを目標としています。より多くの学生が観光を専門として学べるように、本科と「観光経済分析コース」と「観光コミュニケーションコース」を設けています。

 卒業後は、世界を視野に入れた観光産業、金融業、行政分野など政府の「観光立国」を担う観光領域のリーダーへの道とともに、この学科で鍛える経済分析の応用企画力、磨き上げる人間性・社会性を武器にすれば、どんな分野からも求められ、また、どこにいても自分が求める活躍の場が自ずと開けることでしょう。

 観光活動は観光を行なう主体の観光客とその対象(客体)としての観光資源との相互の作用・反作用関係と言うことができます。この観光活動を営利目的で商品化し増大させるのが観光媒体としての観光産業で、それなくして観光経済も観光経済分析も存在しません。

 観光活動の促進の担い手としての観光産業は、観光客数の増大や観光商品の値動きだけでなく、他の産業以上に政治・経済・国際情勢や社会・環境問題などにも気を配らなければ利益を得ることができません。観光商品の構成要素として、観光施設や観光サービスとともに観光資源があるからです。観光経済には、そうした個別企業レベルの経済・経営(ミクロ経済)だけでなく、観光消費の経済波及効果による地域経済や国民経済の所得・拡大再生産(マクロ経済)もあります。経済が発達すればするほど、少子高齢化、生産労働人口の減少、産業の空洞化、自給率の低下、そして地域間の所得格差などの問題が顕著となり、観光により先進的地域からどれだけの所得移転があり、どれほど地域格差の是正や産業構造の高度化に貢献できるかなど、観光のマクロ経済分析に大きな関心が寄せられることになります。

 観光経済分析コースでは、観光経済を質だけでなく量の側面からも把握し、現実の観光政策や観光マネジメント両面に活かす上での、国際標準の政策立案能力や観光産業企画力を培います。観光経済分析コースの必須科目として、観光経済分野では観光政策概論、観光経済学、観光ビジネス分野では観光産業総論、観光と環境分野では環境経済学が、基礎的あるいは応用科目として観光統計学、観光政策評価論、観光管理会計、交通産業論、ヘルスツーリズム論、旅行契約と約款、エコツーリズム論、観光地理学、観光マーケティング、ホスピタリティマネジメントなどが挙げられます。その他、コミュニケーションコースの必須科目の観光コミュニケーションと異文化コミュニケーション論も必須科目として指定されています。

 本コースは、「旅」や「観光」を行う側の視点、「旅」や「観光」を行っている人々を受け入れる側の視点、その両者を言わば俯瞰(ふかん)しながら、具体的に観光プランを立案できる者(観光リーダー)を養成するものです。「旅」や「観光」の対象となる場所は数限りなくありますが、たとえば、日本と外国という境界線を設けて考えてみるならば、外国から日本を訪れる人々の視点、ならびに日本において外国から来られる人々を受け入れる側の視点があります。

 このコースでは、いつも身近に接しながら、意外と知らない面が多い日本や山口の文化・歴史について、そして近隣諸国や欧米の異文化について学び、観光客ともてなす側との交流に欠かせないコミュニケーションについて学びます。前者については、山口の歴史と文化、日本文化・宗教論、食文化論、民俗学など、後者については、異文化コミュニケーション論、観光コミュニケーション、観光英語、観光文化心理学、観光メディア論などの開講科目があります。しかし現実の社会を舞台とする「観光」について、その知識を増やすだけでは意味がありません。実際に行動してみる必要があります。そのためこのコースには、観光リーダーとしての将来の活躍に直結するような経験をする機会が用意されています。それがコースの要として位置付けられるプロジェクト演習です。この演習では皆さんが事前に考えた「観光」に関係するプロジェクトを、観光地において実践し、その成果を、後日、授業で発表します。海外でのプロジェクトを可能にするための前提となる語学力(英語、中国語、韓国語)については、その養成に力を入れています。英語では基礎的なレベルのものから、TOEIC、TOEFLのハイスコアを目指す授業まで充実した授業科目がありますので、英語力の大きなレベルアップが可能です。

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