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大学院創成科学研究科(工学系)化学系専攻の伊藤日咲さん、荒井万由子さん、田辺和也さんが、第62回化学関連支部合同九州大会のポスター発表において電気化学分野の優秀発表賞を受賞しました

(令和7年8月8日掲載)


 大学院創成科学研究科(工学系)博士前期課程化学系専攻2年の伊藤日咲さん、荒井万由子さん、田辺和也さん(いずれも中山・吉田航研究室)が、令和775日に北九州国際会議場で開催された「第62回化学関連支部合同九州大会」ポスター発表において電気化学分野の優秀発表賞を受賞しました。
 
 伊藤さんが受賞した発表は、「リグニン由来Fe担持グラフェン電極触媒による選択的硝酸アンモニア変換」で、グリーンアンモニア製造のための硝酸還元電極触媒に関する研究です。アンモニアが産業において必要不可欠な化学物質である一方、硝酸イオンは主要な水質汚染物質であり、その除去による窒素サイクルの正常化が求められています。そこで、伊藤さんらは電気化学反応によって硝酸イオンをアンモニアに変換する技術に着目しました。
 本研究は高知大学・森勝伸研究室との共同研究であり、バイオマスであるリグニン由来の鉄担持グラフェンを電極触媒として用いることで、高い選択性で硝酸イオンをアンモニアに変換することに成功しました。
 今回の受賞について伊藤さんは、「この度はこのような賞を頂戴し大変嬉しく思います。今回の受賞を励みに電気化学的な硝酸還元技術の実用化を目指して研究活動を行ってきたいと思います」と述べています。
 
 荒井さんが受賞した発表は、「NiCu置換タングステン酸化物を用いたアンモニア電解における選択性評価」です。この研究は水素社会実現のためのアンモニア電気分解の触媒開発に関するものです。ここではアンモニアを効率的に水素に分解するだけでなく窒素酸化物ではなく無害な窒素のみを副生する技術が望まれます。
 本研究ではタングステン酸化物骨格に役割の異なるニッケルと銅を原子レベルで複合化することにより電気化学的アンモニア酸化反応に対して優れた活性と窒素選択性をもつ触媒の合成に成功しました。なお本研究は株式会社トクヤマとの共同研究の成果です。
 今回の受賞について荒井さんは「発表の際には他大学の先生方や企業の方からアドバイスをいただき、非常に充実した時間になりました。今回の経験をもとに、今後も研究活動に力を入れて取り組みます」と述べています。

 田辺さんが受賞した発表は、「酸素欠陥酸化ルテニウム触媒を用いた塩素フリー塩水電解における添加剤効果」です。この研究は再生可能エネルギーを用いた塩素フリー塩水電解によるグリーン水素製造を目指したものです。酸素欠陥を多く含む低結晶性酸化ルテニウム触媒を開発し、塩水中において塩化物イオン酸化(COR)を抑制しつつ酸素発生反応(OER)を選択的に進行させることに成功しました。さらに、アルカリや緩衝剤を添加することで、高電流密度下でも効率的にOERを促進できる可能性を示しました。なお、本研究は株式会社トクヤマとの共同研究の成果です。
 今回の受賞について田辺さんは「この度はポスター賞を頂き、心より光栄に存じます。発表では多くの方から貴重なご意見をいただき、非常に有意義な時間となりました。今後は、本研究で得られた知見をグリーン水素製造のための高効率アノード材料開発に活かし、さらなる成果を挙げられるよう努めてまいります」と述べています。

 伊藤さん荒井さん田辺さんのますますの活躍を期待するとともに、本学は今後も学生の研究活動の支援に努めてまいります。

 

                               受賞した伊藤日咲さん

                               受賞した荒井万由子さん

                               受賞した田辺和也さん

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