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エンジンシステム工学研究室の3名の学生が、日本マイクログラビティ応用学会にて表彰されました
(令和7年12月3日掲載)
2025年9月11日~13日に北海道室蘭市のFKホールディングス生涯学習センターきらんにて開催された、日本マイクログラビティ応用学会第37回学術講演会において、大学院創成科学研究科機械工学系専攻博士前期課程2年の森隼人さんが学生口頭発表最優秀賞を受賞しました。また、同講演会毛利ポスターセッションにおいて、同専攻博士前期課程1年の内藤衛さんが優良賞、同専攻博士前期課程1年のIliya Hiyama bin Zazuliさんが敢闘賞を受賞し、毛利衛元・JAXA宇宙飛行士より表彰されました。
森さんが学生口頭発表最優秀賞を受賞した発表題目は「微小重力実験に向けた大気圧・低温環境での低沸点燃料の液滴生成および高温環境での燃焼の試み」です。カーボンニュートラル燃料として期待が寄せられているアンモニアの噴霧燃焼の基礎として、理想化された微小重力場における単一アンモニア液滴の燃焼実験が、一昨年、山口大学で世界に先駆けて実施されました。本研究では、実用上より重要となるアンモニア液滴の自着火特性を調べるための装置の構築を行い、アンモニアと同じく常温・大気圧で気体として存在する低沸点燃料を用いて、低温・大気圧環境での液滴生成ならびに高温場での蒸発挙動を調べました。本研究成果はアンモニア液滴燃焼実験の高精度化につながり、将来的なアンモニア噴霧燃焼の詳細機構解明に寄与することが期待されています。
内藤さんの発表題目は「微小重力場における燃え広がり限界外の液滴の可燃性混合気層形成に与える液滴間距離の影響に関する実験的調査」です。2017年に国際宇宙ステーションで行われた宇宙実験において、通常の液滴群燃え広がり挙動と一線を画すような大規模な着火挙動が観察されました。本研究では、着火前の液滴がまわりの熱の影響を受けて蒸発する「予蒸発」が大規模着火に影響を与えていると仮説を立て、予蒸発による可燃性混合気層の形成に対する液滴間距離の影響を調査しました。本研究成果は、現在計画している次の宇宙燃焼実験のための基礎となることが期待されています。
Iliyaさんの発表題目は「球形固体パラフィン燃料の気化速度定数取得に向けた予備実験」です。ハイブリッドロケットエンジン内で燃焼するプラスチック燃料の燃焼機構を詳細に調べるため、本研究グループでは微小重力場における燃焼実験の実施を目指しています。本研究では、パラフィン燃料を用いた微小な固体球の生成に成功し、通常重力場での着火と燃焼挙動を調査しました。本研究成果は、プラスチック燃料特有の現象を含む燃焼機構解明に寄与することが期待されています。
受賞した3名の学生は、以下のように喜びの言葉を述べています。
森隼人さんさん「このような賞をいただき、大変嬉しく思います。本研究では、約1年半にわたり、実験装置の設計・製作からデータ取得まで一から取り組んできました。思うように進まないことも多く苦労の連続でしたが、三上先生、坂野先生をはじめ、研究室の皆様のご指導・ご支援により、研究に励むことができました。今回の受賞はそのお力添えのおかげだと感じています。心より感謝申し上げます。また、装置製作に際して多大なるご協力をいただいた上田様、寺田様をはじめ、機械工作工房の皆様にも深く感謝申し上げます。今後もアンモニアをはじめとする低沸点燃料の蒸発・燃焼研究に取り組み、この分野の発展に貢献できるよう努めていきたいと思います。」
内藤さん「このたび、このような賞をいただき大変光栄に思います。研究を進めるにあたり、多くのご指導やサポートをくださいました三上先生、坂野先生、そして研究室の皆様に深く感謝申し上げます。今後は、より一層研究に励み、可燃性混合気層形成の機構解明を目指して取り組んでまいります。」
Iliyaさん「この度はこのような賞をいただき、大変光栄に存じます。研究テーマを引き継いでから学会で発表できる段階まで丁寧にサポートしてくださった三上先生、坂野先生、そして協力してくださった研究室の皆様に心より感謝申し上げます。この賞をモチベーションとして今後も球状の低融点系固体燃料の燃焼特性を調査し、燃焼モデル構築に貢献していきたいと思います。」
3名の学生のますますの活躍を期待するとともに、本学は今後も学生の研究活動の支援に努めてまいります。

受賞者の森隼人さん

受賞者の内藤衛さん(左)と毛利衛元・JAXA宇宙飛行士(右)

受賞者のIliya Hiyama bin Zazuliさん(左)と
毛利衛元・JAXA宇宙飛行士(右)