秋吉台の地下洞穴 ―”探検”ではなく”測量”
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河部 一希 さん
理学部 地球圏システム科学科
達成感。そして、ここだけの絶景
地質への興味から ―洞穴研究会に
洞穴研究会では、どのような活動をしているのでしょうか?

「洞窟探検」をイメージされることが多いのですが、私たちの活動の目的は、洞穴を測量し、正確な測量図を作ることです。 秋吉台の地下には400を超える洞穴が確認されており、その多くは70年以上にわたって歴代の洞穴研究会が調査を続けてきました。私たちが作成した測量図は市へ提出され、研究者が学術調査を行う際の基礎資料や、観光資源として活用できるかを判断する資料として利用されています。近年、秋芳洞の総延長が見直された際にも、私たちの測量成果が生かされました。
測量の進め方
実際の調査は、どのように進めるのですか?
調査は4~6人のチームで行い、1回の調査は6~8時間ほどです。小規模な洞穴なら2~3日、大規模な調査では半年近くかけて測量を進めます。
まず洞穴の壁に「ペグ」と呼ばれる目印を設置し、その間の距離や角度、方位を一つひとつ測ります。レーザー測量機で取得した三次元データに、洞穴の幅や高さなどを書き加え、最後にスケッチを行って一枚の測量図を完成させます。

最近取り組んでいるのが、大正洞近くにある「サンゴ穴」の調査です。名前のとおりサンゴの化石が数多く見つかる洞穴ですが、天然の迷路のように入り組み、竪穴も多く、私たちがこれまで調査した中でも特に測量が難しい洞穴だと感じています。
この洞穴は何十年も前に洞穴研究会が測量・命名したものです。ただ、当時の測量図は精度が十分ではなかったため、現在の技術でもう一度測量し直すことになりました。天然の迷路のように入り組んだ構造で、狭い通路や竪穴を越えながら調査を進める必要があるため、これまで何度も再測量が計画されながらも完了していません。私たちは先輩方の資料を引き継ぎ、測量図の完成を目指しています。
調査には、特別な技術も必要になりますね。
調査に参加するためには、測量技術だけでなく、洞穴内を安全に移動する技術も身に付けなければなりません。
入部して最初の課題は、30メートル以上のラダー(ワイヤー製の縄ばしご)を安全に昇り降りできるようになることです。体育館では60メートルのラダーを使った昇降訓練を行い、週3回ほど継続して練習しています。
初めて30メートルの竪穴を自分の力で登り切れた時の達成感は、今でも忘れられません。訓練を重ねることで、自分にできることが少しずつ増えていくのも、この活動の魅力です。
このほかにも、ロープの設置、安全確保、仲間を先導する技術などを段階的に身に付けていきます。部内には検定制度もあり、一定の技術を身に付けなければ実際の調査には参加できません。
技術が落ちないよう日々訓練を続けます。
絶景と達成感
活動の中で、一番印象に残ることは何ですか?

苦労して洞穴の一番奥までたどり着いた時や、洞穴の中でしか見ることのできない景色に出会えた時です。
光の届かない地下空間に広がる鍾乳石や、何万年もの時間をかけて自然がつくり出した景色は、本当に美しく、何度見ても感動します。
もちろん、その景色を見ることだけが目的ではありません。
調査を終え、自分たちが調べた場所が測量図となり、記録として残っていくことには大きな達成感があります。測量図は研究や観光など、さまざまな場面で活用される資料となり、新しい洞穴を調査した時には、自分たちで名前を付けることもできます。
それは嬉しいですね。
訓練を重ねて技術を身に付け、仲間と協力して一枚の測量図を完成させる。その成果が記録として残る達成感。調査の途中で出会える洞穴ならではの絶景。これが洞穴研究会の魅力だと思います。