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数理科学科の受験を考えているみなさんへ 在学生からの夏の図書案内

山口大学はまだ期末試験が済んでいませんので, 夏休みではありませんが高校生は夏休みに入ったかも知れません. 私は担当する講義の期末試験の問題を考えつつ, 8月8日(土)のオープンキャンパスでの高校生向け講義(エラトステネスの篩)の準備をしています. 実は, 全く進んでいません.

山口大学生協 favo 本屋さんから, 夏の文庫本紹介の薄い冊子を貰ってきました. 毎年, これを貰うたびに, 中学校の国語の授業を思い出します. 夏休みに入る直前の国語の授業で, 担当の先生がこれを配られ, 中に書いてある本を紹介されていました. 国語の先生が私たちに, 本に触れるきっかけをさりげなく作って下さったのだと, 大人になって思います. また, 高校生のときに, 京都・寺町の古本屋, 三密堂さんの店先に「衣食住の次に大切なのは本である」と看板が掲げられていたのを見たのを覚えています. 昨今, 本屋さんがどんどん無くなっている日本社会は, 本を求めず情報ばかり求めています. しかも, タダで得ようとする人が多い. 他人から取るばかりで, 他家薬籠中の物を使う. 三密堂さんの店主の方は天眼通を備えておられたのか, 高校生の私の未来の職業を見抜いて, 数学の啓蒙書をタダでたくさんくれました. いや, それとも数学の啓蒙書など売れないから置き場所に困ってタダで私に処分させようとしたでしょうか. きっと, 前者です.

数理科学科3年生前期の科目に「現代数学展望」があります. 教員が代わる代わる一コマずつ自分の好みの数学を講義するのですが, 私が担当したとき, レポート課題に加えて, オススメの本を履修学生に募りました. 私が思っていたよりたくさんの本を学生がタダで薦めてくれました. その中で, 山口大学の総合図書館に蔵書されているものを紹介したいと思います.

  • 広中平祐 「学問の発見」(佼成出版社, 1982)
  • 清水俊史「ブッダという男」(筑摩書房, ちくま新書, 2023)
  • 原 惟行 松永秀章 「イプシロン・デルタ論法完全攻略」(共立出版, 2011)
  • 伊藤清三「ルベーグ積分入門」(新装版) (裳華房, 2017)
  • 相川弘明 小林政晴「ルベーグ積分要点と演習」(共立出版, 2018)
  • ジョン・ダービーシャー (松浦俊輔 訳)「素数に憑かれた人たち リーマン予想への挑戦」(日経BP出版センター, 2004)
  • 山田敏弘「国語教師が知っておきたい 日本語文法」(くろしお出版, 2004)
  • サイモン・シン(青木薫訳)「フェルマーの最終定理」(新潮社, 新潮文庫, 2006)
  • 結城 浩「数学ガール」(ソフトバンククリエイティブ, 2007)
  • 森田真生「数学する身体」(新潮社, 2015)
  • 伊坂幸太郎「重力ピエロ」(新潮社, 2003) (注: 2006年に新潮文庫)
  • SPIノートの会編「これが本当のSPI3だ!」(講談社)
    (注: この本は総合図書館ではなく山口大学のキャリアセンターに配架されているようです. 年度毎に出版されているようです. 就職は大事です.)
  • 金重明 「はじめてのガロア」(講談社, ブルーバックス, 2024)
  • 渡邊雅子「論理的思考とは何か」(岩波書店, 岩波新書, 2024)
  • 國分功一郎「中動態の世界 意思と責任の考古学」(医学書院, 2017)
  • 岡 潔 「春宵十話」(毎日新聞社, 1963) (注: 2026年に光文社文庫から出ているようです.)
  • 安藤清, 土屋守正, 松井泰子「例題で学ぶグラフ理論」(森北出版, 2013)
  • 萩田真理子「暗号のための代数入門」(サイエンス社, 2010)
  • 中島 敦「山月記; 季陵: 他九篇」(岩波書店, 岩波文庫, 1994)
  • 津田丈夫「不可能の証明」(共立出版, 1985)
  • マーカス・デュ・ソートイ(冨永星訳)「素数の音楽」(新潮社, 新潮文庫, 2013)
  • 原 隆 「手を動かしてまなぶ 群論」(裳華房, 2024)

 

最初に挙げた本の著者は山口大学元学長で, 偉大な数学者です. 最後に挙げた「手を動かしてまなぶ 群論」は私の研究室にもおいてあります(私が担当する3年生前期の「代数学」の講義の準備に使っています). これを薦めてくれた学生とは別の学生が私の研究室でこの本を見て, 「この本の表紙, 準同型定理じゃないですか!!」と言っていました. その通りです!「代数学」の講義をしっかり勉強しているようで私は安心しました.

山口大学理学部数理科学科の受験を考えているみなさん, 受験勉強の合間に読書で気分転換してください. 私はルベーグ積分では気分転換できませんけど. 中学のときの国語の先生が, 高校入試の前夜に寝られなかったら, 国語便覧を読んだらすぐ寝られる, とおっしゃっておられたのも覚えています. (南出)

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