8月5日(水)に, 前期の講義の期末試験が終わりました. 数理科学科の学生のみなさん, 期末試験は無事終わったでしょうか? 私の担当する3年生前期の「代数学」の講義は, 8月5日の午前に期末試験を行い, さらに午後に最後のひとコマ講義を行いました. 試験の時間も含めて全32コマ実施しました. とても疲れました. 講義する私もかなり辛かったですが, 履修する人はもっと大変だったと思います(大変だったと思います. どの講義にしても…). どの講義にしても, 試験である程度の点数を取らないと単位が認められませんので, 学生のみなさんは点数を取らないといけないというプレッシャーが常々あると思います. 辛いと思います. それでも, 数学は面白いですから, 試験の成績が悪かったとしても心折れずに, 数学の勉強を続けてほしいと思います. 講義を受けているときは, その内容を理解できなくても, 後からそれを理解することも多いと思います. たとえば, 卒業研究のセミナーのテキストを読んでいるときに, テキストの行間に, 3年生までの講義に出てきた「意味不明」定理が潜んでいることに気が付くことがあるかも知れません. それを機に, その定理の証明を復習してみると, ちょっとはわかることもあります. 意味不明でなくなるかも知れません. 一回の講義で, その講義内容をすべて理解しなければならないということはないと思います. 直ぐにわからなくても勉強を続けているとそのうちわかることもあります. 期末試験の結果で, 心折れないでほしいと思います. そして, 夏休みにしっかり休んでください. 前期に学んだ数学の復習も忘れずに.
後期の講義開始は10月1日(木)です(大学生の夏休みは長い! 勉強時間がたっぷりあってうらやましいです.). 後期の講義の履修登録を忘れないようにしてください. 一年生は, 少人数クラスに分かれて問題を解いて発表する「数理科学入門セミナー」があります. 微分積分, 線形代数の講義もあります. 2年生も, 微分積分, 線形代数があり, さらに位相の講義がありますが, いずれもかなり重厚です. 数学はハードになりますが, 投げ出さないようにお願いします. 踏ん張りどころだと思います. 3年生は, 研究室への配属が決まります. これは卒業研究への入り口です. そして, 分野ごと, 研究室ごとで「数理科学発展セミナー」があります. 代数, 幾何, 解析それぞれの分野に分かれたクラスで問題を解いたり, それぞれの研究室で, 同じ研究室の学生5, 6名が一緒に一つのテキストに取り組んだりします. そのとき, 3年生前期までの様々な講義で学んだ様々な数学を, 取り組んでいる問題の状況に応じて活用することが求められると思います. これまで以上にたくさんのことを考える必要がありますが, めげずに数学を楽しんで頂きたいと思います. 4年生は, 卒業論文完成に向けて, もうひと頑張りしてください. でも, 学業や就職について, 自分を追い詰めないようにしてください. 心配事があれば, 気軽に指導教員に相談してください.
私が大学2年生のとき, 夏休みに, 先輩に薦められて, スピヴァック著 齋藤正彦訳「多変数解析学」(東京図書, 1972年) にチャレンジした覚えがあります. 読むのを頑張った覚えはあります. しかし, 理解した! という記憶はないですね. この本で印象に残っているのは, p.84 です:
\[
\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^{2}}dx =\sqrt{\pi}
\]
を示せ.
《普通の人にとって \(2\) 掛ける \(2\)が \(4\) であることが当り前であると同じくらいにこの等式が当り前に見える人こそ数学者と呼ぶに値する. リウヴィルは数学者であった.》——ケルヴィン卿
(スピヴァック著「多変数解析学」p.84 より抜粋.)
心折れる一言ですね. 私にはムリです. そんなこと. この積分は2年生後期の講義「微分積分学III」に登場すると思います. これは, サイン関数とガンマ関数の関係式
\[
\Gamma (s) \Gamma (1-s) = \frac{\pi}{\sin \pi s}
\]
からも導かれますので, 3年生前期の講義「解析学」でも登場するかも知れません (たとえば, 高木「解析概論」p.252 参照.). ガンマ関数について書かれた薄い本, アルティン著「ガンマ関数入門」があります. 1年生後期の「微分積分学I」, 2年生後期の「微分積分学III」の予習も兼ねて, 夏休みにこの証明に挑戦してみてはどうでしょうか.
勉強すると腹が減りますので, 夏休み中もしっかりご飯を食べてください. 暑いですから食欲がなくなりますが, 夏に食べるカレーは特においしいです. 夏でなくても, カレーを食べるといつも力が湧いてきます. カレーの材料である香辛料がそうさせるのだと思います. 京都・寺町のネパール料理の店の方も言っていました. 「カレーは健康に良い. 日本の人にもっと食べてもらいたい」 正岡子規の日記「仰臥漫録」に「夕 ライスカレー三碗 ぬかご 佃煮 なら漬」とあります. (注: 夕は夕食のことです. カタカナの「タ」ではありません.) 少々食べ過ぎではないかと思いますが, 病気の正岡子規にとって, 食べることが生きる気力になっていたのだと思います. ご飯をしっかり食べることは大切です. 石川県の祖父母の家で, 亡き祖母がカレー粉の入ったみそ汁を作ってくれたことを覚えています. これは祖母のアイデアだと思うのですが, 小菅桂子著「カレーライスの誕生」に, 大正から昭和にかけて, 新聞や雑誌に「ポテトカレー煮」, 「鮭のカレーシチュー」, 「野菜のカレー煮」, 「カレーの味噌汁」, 「魚のカレー煮」などが登場すると述べられています. カレーのみそ汁は昔からあったみたいです. 数理科学科のみなさん, 作ってみたらどうでしょうか? カレーのみそ汁は, みそ汁にカレー粉を振りかけるだけです. 冷たい水にクミン(カレー粉の原料の一種)を入れて飲むのもおいしいです. 私はインドでガンジス川の魚が入ったカレーを食べたことがあります. お釈迦さんに怒られそうですが, おいしかったです. この本のあとがきに, 山陽本線の柳井駅にはドライカレー駅弁があったと書かれています. この駅弁は昭和57年には姿を消したそうです. 一度食べてみたかったです. 山口県立柳井高校で学ばれた山口大学元学長の広中平祐先生はこれを食べことがあるのでしょうか. (南出)
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参考文献
- スピヴァック著 齋藤正彦 訳 「多変数解析学」, 東京図書, 1972. (p.84)
- 高木貞治 「解析概論」, 改訂第3版 軽装版, 岩波書店, 1983. (p.252)
- E.アルティン著 上野健爾 訳・解説 「はじめよう数学 6 ガンマ関数入門」, 日本評論社, 2002. (p.39)
- 正岡子規 「仰臥漫録」, 岩波文庫, 岩波書店, 1927. (p.48)
- 小菅桂子 「カレーライスの誕生」, 講談社学術文庫, 講談社, 2013. (p.138, p.139, p.187, p.241)
- 広中平祐 「学問の発見」, 佼成出版社, 昭和57年. (p.38, p.39, p.54, p.58)
(この本は, 数理科学科の3年生が薦めてくれた本です. 昭和57年に出版されたこの本を, 山口大学総合図書館から借りてきて一通り読みましたがドライカレーもカレーの話もありませんでした. 柳井高校は登場します. また, 私には理解できない部分も多かったですが, 参考したい部分も多くありました.)


