第2回理学部講演会
『理論と実装が織りなす統合解析の未来』と題した山口大学先端計測技術研究会(旧:研究推進体「先端的計測・分析基盤技術の創出」)(※1)と山口大学研究推進体「先端物質から文化・芸術まで科学する物質構造解析研究」(※2)と山口大学理学部 物質構造解析研究会(※3)によるジョイントセミナーが2026年8月31日(月)に開催されました。今回で11回目の開催となりました。
事前登録者は40名を超え、当日参加者を含めると45名以上の参加がありました。参加者は、本学の教職員や大学院生、学部生に加え、企業の技術者(本学卒業生を含む)であり、幅広い層の分野の技術者・学生が本講演を聴講しました。
今回は特別講演2件【前川諒介 先生(トヨタ自動車株式会社)・吉川研一 先生(同志社大学)】と一般ポスター発表17件が行われました。
※なお、前川先生は急遽業務のためご出席いただけなくなったことから、共同研究者である株式会社カワノラボの河野誠先生に代理でご発表いただきました。
前川先生(河野先生代理)には、電池や塗料などの製造に欠かせない液中に粒子を均一に混ぜる技術である「微粒子分散」において、量子化学計算と機械学習を組み合わせた定量的構造物性相関(QSPR)法による材料設計が紹介されました。本手法で粒子の表面電荷分布からハンセン溶解度パラメータ(HSP)値【※成分間のなじみやすさの指標】を高精度に予測、そしてアルミナ粒子の表面改質に応用し、HSP値の差と樹脂粘度との相関から液体の低粘度化(加工性の向上)に成功した事例が示されました。
吉川先生には、細胞内の密集環境(分子混雑環境)における巨大分子のユニークな物理化学現象についてご講演いただきました。ゲノムDNAに対し各種カチオンを作用させた際の凝縮・解離挙動について併進エントロピーの変化から機構が説明され、遺伝子発現のオン・オフ制御との深い関わりが提示されました。また、2種の高分子水溶液が起こす液/液相分離を微小な流路に閉じ込めることで、等しいサイズの水滴が自発的・規則正しく配列する自己組織化現象が紹介され、生命現象の物理的基盤や生物のパターン形成に繋がる刺激的な内容でした。
一般ポスター発表では、理論物理・物理化学・分析化学・錯体化学・計算化学・高分子化学・ソフトマターなどといった幅広い分野からの報告がありました。発表開始直後から白熱した議論が交わされていました。
今回のジョイントセミナーも、分野を超えた活発な質疑応答がなされ好評のうちに終了致しました。
以下の3件の発表が優秀ポスター賞を受賞しました。おめでとうございます。今後、益々の研究の発展を期待しております。
- P01 孫松宇さん(山口大院創成科学(理))
「β-シクロデキストリンとL,D-フェニルアラニンによる包接 化合物の構造解析」 - P02 中八児壮太さん(山口大院創成科学(理))
「高濃度フッ化物ハイドレートメルトにおける水のミクロ構造と電子状態の解明 ―ラマンおよびO 1s X線分光によるアプローチ―」 - P08 柳井晶穂さん(山口大院創成科学(理))
「水存在下におけるin situシッフ塩基形成を利用したNd/Dyの選択的結晶化分離」
(※1)山口大学先端計測技術研究会
(※2)山口大学研究推進体「文化・芸術まで科学する物質構造解析研究」
(※3)山口大学理学部 物質構造解析研究会
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