山口大学農学部 農学部

本学への寄付

生物機能科学科

生物機能科学科では微生物・植物・動物の持つ優れた未知機能を引き出し、詳しい仕組みを解明し、食品・食糧生産や医療、環境修復などに利用する研究を行っています。

学科概要

今日では食品、医薬品、および化成品の製造において様々なバイオテクノロジーが活用されています。実は酒、酢、チーズ、パン作りなどは、古代から利用されてきたバイオテクノロジーであり、人類はこの技術を暮らしに役立ててきました。現在では、伝統的に行われてきたバイオの仕組みが科学的に明らかにされ、遺伝子工学、タンパク質工学、細胞工学などの新しい技術が開発されています。これらの技術のおかげで、今までになかった有用な機能性食品や医薬品が開発され、我々の生活をよりいっそう豊かにしてくれました。

しかしその豊かさの裏で、生態系に対する遺伝子組換生物の影響など新たな社会的課題も生まれています。他方、地球の人口はついに70億人を超えましたが、人間活動のひろがりに伴い、資源の浪費や環境破壊が深刻になっています。その結果、温暖化、森林破壊、公害、さらには貧富の拡大が顕在化しており、これら諸問題の被害者が増加していることは見逃すことができない事実です。これからのバイオテクノロジーは、前述の食料・医薬に加えて、環境浄化や再生エネルギー利用への貢献も期待されています。

生物機能科学料では、将来の食料・健康・環境分野が抱える問題の解決を主要なテーマとして、分子生物学・細胞工学・応用微生物学などの先端バイオテクノロジーの知識や技術を修得し、それらを基にして社会に貢献できる人材を育成することを目指しています。その為に私達は、最新のバイオテクノロジーを駆使した先端研究を行い、最新の研究成果を積極的に授業に取り入れることで、教育の充実化を行っています。

また、バイオテクノロジーの原理を理解するためには化学の知識が不可欠ですが、化学に対する苦手意識からバイオ分野への進学を諦めるケースが増えています。そこで本学科では、生化学と有機化学に関する教育も十分に行い、バイオテクノロジーを通じて社会の発展に寄与できる人材を育成します。

アカバナ科植物クラーキアの開花とその香り成分 アカバナ科植物クラーキアの開花とその香り成分
ビタミンC生産に関わる酵素の構造 ビタミンC生産に関わる酵素の構造
サラブレッドの走行能力試験 サラブレッドの走行能力試験

1年次には、「共通教育科目」及び「専門基礎科目」を履修し、世界の多様な文化・歴史に対する理解力及び高い倫理観などの一般基礎能力を養うとともに、現代農学及び応用生命科学の基礎となる生物学・化学・物理学及び情報科学の基礎知識を修得します。また、生物機能科学の概念と学習・教育プログラムを把握し、自ら修学プランを立案する能力を養います。さらに、自分の考えを相手に伝えるためのコミュニケーション能力を養うとともに、国際的な舞台で活躍するために必要な語学力を磨きます。
2~3年次には、まず専門教育の基盤となる「基礎理論系科目」を履修し、生化学ならびに有機化学の基本的な知識を学んで農学基礎能力を高めます。また、「発展理論系科目」を履修し、応用生命科学ならびに環境科学の知識を修得することで農学専門能力を養います。さらに「実験・実習系科目」では、当該分野の研究者・技術者として求められるバイオテクノロジーなどの専門的技法や考察力を身につけ、将来の進路を展望し、社会のニーズを理解したうえで自ら進むべき進路を決定する能力を養います。
4年次には、研究室に所属し、「特別演習」及び「卒業論文」を履修します。研究発表や討論の場を数多く経験し、論理的思考のプロセス及び結果を説明するためのプレゼンテーション能力を養います。そして、生命科学の研究を行う際に必要な倫理観をはぐくみ、農学、生物科学、環境科学の分野が抱える諸問題について自ら解決法を模索し、当該分野の技術の発展に貢献できる人材となれるよう学修します。
なお、1年次~4年次を通して継続的に英語コミュニケーション能力を養います。共通教育に引き続いて2年次~4年次に専門英語を履修することで、国際的に活躍できる研究者・技術者となれるよう教育を行います。

カリキュラム

生物機能科学科カリキュラム

「授業科目一覧」はこちら(山口大学規則集)から農学部規則を検索し、当該規則の別表「教育課程編成表」ご覧ください。

特色ある科目紹介

生物機能科学総論(1年後期)

生物機能科学とはどういった学問分野でどのように利用されているのかその概要を把握します。

生物機能科学基礎実験(2年前期)

生物機能科学を習得するのに必要な基礎的実験ノウハウを学びます。微生物から植物、動物まで幅広い生物を対象とし、生物たちが持っている能力を評価できる技術を身につけます。

蛋白質工学(3年前期)

蛋白質はアルツハイマー病の原因になったりがん免疫療法に用いたり様々な生物機能を有しています。そうした機能をうまく活用してひとに役立つ蛋白質開発の基礎を学びます。

醗酵食品化学(3年前期)

お酒や酢、味噌や醤油に至るまで様々な発酵食品が使われています。これまでの伝統的な発酵食品を把握し、新しいバイオ技術でこれまでにない食品を創成するための基盤を学びます。

環境と化学(3年後期)

私達の住む環境には様々な化学物質があふれていてます。環境を整え、いい状態で維持するために化学の知識をどのように使うのか、一緒に考えていきます。

卒業論文(4年通年)

それぞれの研究室で指導教員のもと卒業研究を進め論文に仕上げます。まだ世の中の誰も知らないことを明らかにする科学的好奇心を高め、読み手に理解してもらえる文章を書く力を養成します。

在学生の声(更新準備中)

生物機能科学科4年
(2021年3月現在)

田中 康大 さん

植物同士の会話を「見る」

植物は匂いを発することで、外敵から身を守ったり、植物同士でコミュニケーションをとっています。しかし、植物がどのように匂いを感じているかについてはわかっていません。そこで光るタンパク質を発現させた植物を使って植物の応答を見ることで、植物が匂いを感じ取るシステムを解明しようと考えています。

高校生へのメッセージ

大学では高校まででは学ぶことができない専門知識を得ることができます。受け身な姿勢ではなく、何事にも積極的に自分から動いて取り組むことがより大事になります。高校生の時期から疑問に感じたことはとことん追求していきましょう。

植物の葉が傷つけられたときの応答を、遺伝子導入技術で見える化(左)
植物の匂い応答を見るためのシステム構築(右)

進路・資格

生物機能科学科で取得できる資格

  • 食品衛生管理者
  • 食品衛生監視員(受験資格)
  • 毒物劇物取扱責任者
  • 普及指導員(要実務経験)
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