経済学部長・大学院経済学研究科長

有村　貞則

大学受験を考えている皆さん、山口大学に来られたことはありますか？山口大学には吉田、小串、常盤の３つのキャンパスがあります。このうち経済学部は吉田キャンパスに所在しています。

吉田キャンパスのある山口市は、自然が豊かで落ち着いた雰囲気のある街です。街の中央部に椹野川という川が流れているのですが、ここではアユやウナギ、マスが釣れたりしますし（遊漁証が必要です）、その支流である一の坂川には天然記念物のゲンジボタルが生息しています。そして、この椹野川の河川敷でスポーツや散策などを楽しみながら、ふと目を上げると、春から夏にかけては新緑の、秋には紅葉の、冬には雪化粧の山並みを一望することが出来ます。

自然豊かな場所にある吉田キャンパスですが、生活する上で不便を感じることはありません。コンビニやスーパー、飲食店、病院など生活に必要なインフラは十分にそろっています。つまり、山口大学経済学部は、都会のような派手さはないですが、落ち着いて勉強するのに最適な場所に所在しています。そして、この落ち着いた雰囲気があるからこそ、社会人になるための準備期間としてじっくりと自分自身に向き合うことが出来ますし、一生の財産となるような深い友人関係や人間関係を構築することも出来ます。

在学生の皆さん、経済学部の教育理念・目的を覚えていますか？簡潔には「社会に貢献し得る実践的経済人の育成」、もう少し言葉を補足すると「豊かな社会の構築に貢献し得る実践的経済人」を育成していくことが経済学部の教育理念・目的です。では、私たちの住む社会や世界は、豊かな社会や世界になっていっているでしょうか？私が大学生の頃、日本はちょうどバブル経済期で豊かさを夢想させるような社会的様相もありました。しかしバブル崩壊後は、平成の大不況に突入、デフレーションの進行、少子高齢化とそれによる人口や労働力の減少、貧困の拡大、地球環境問題、そしてこれらの問題の解決策が見いだせないまま、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックとロシアによるウクライナ侵攻という世界的悲劇が私たちの目の前で生じています。

在学生の皆さんは、これから社会人となって自身の人生を歩んでいきます。そのためには、まずは自分自身にとっての幸せは何かをしっかりと考えることが大事ですが、それに加えて「社会を良くしたい」、「社会に貢献したい」、そんな気持ちや信念を少しでもいいので持てる人材になって卒業していってほしいと思います。