山下 波父さん

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山下 波父 さん
創成科学研究科 地球圏生命物質科学系専攻 生物学コース
いつの日か自然保護に関わり、地球環境保全の一助に
一年間の休学。そして、アフリカへ
どのような国に滞在を?休学してアフリカへ向かった目的は何だったのでしょう?
世界で最も貧しい地域と呼ばれるアフリカの西サヘル地域の内陸に位置するブルキナファソに行きました。この国は、2022年に2度のクーデターを経験し、現在も国土の半分近くを過激派テロリストに支配されている政情不安定な小国ですが、60以上の部族から成る国民は部族間紛争とは無縁で、言語や文化こそ違いますが共に社会を作っています。
私は、かねてより、SDGsが謳われる世界に生きる1人の若者として、最も難しい『国家間格差の解消』のために、まずはリアルな生活を肌で知りたいと考え、「発展途上国での実生活」を熱望していました。
折しも、この国に滞在して音楽の活動をしている母が、紛争地域の中で生きる人々の生活を彼らとともに表現するという非常に興味深いオペラ(La-bas ou ici)制作を行っていたこと、その母より『電気もガスもない家と家畜が歩く土の道』での日常の話を聞いたことから、ブルキナファソに強い興味を感じ、休学をして、アフリカへ向かう決意を固めました。
滞在期間は?
2023年3月に出国し、ブルキナファソに向かい、およそ10カ月滞在しました。途中、1ヵ月間、南アフリカ共和国(以降、南アフリカ)での野生動物保護ボランティア参加し、2月に帰国しました。
政情不安で気候も厳しいところですね。風土病などの心配もあったのでは?
入国のために指定ワクチンの接種が義務付けられています。ワクチン接種に行った時に担当してくれた医者は、約1年間の西アフリカ滞在の話を聞いて、熱心に蚊対策を講義してくれました。でも、一通り説明を終えてから、「まぁ、2週間ほどの滞在ならどうにかできることもあるんですが、10ヶ月も滞在すれば1度も感染しないということは現実的に厳しいでしょう」と諦めたように笑っていました。
ブルキナファソでの生活(8か月滞在)
暮らしていた場所は、どんな所ですか?
ブルキナファソは私が着いた4月が1年で最も暑く、日中は45℃に達する日もあるほどです。夜でも35℃くらいなので、団扇で扇いでも熱風。という感じでした。
それが少しずつ気温を落としていき、6月-9月までは雨季、11月からは乾季。12月は昼夜の気温差が激しく、半袖で寝ると寒く感じる日もありました。
住居は、母が仕事で滞在しているマブドゥの家にお世話になりました。マブドゥは音楽家です。彼の家族・親族・自分達含めて9人で住んでいたこの家は、土を練ったようなしっかりとした壁とセメントの床、トタン屋根でできていました。この家は近所では幾分裕福な部類に入ると思います。水道があり、ソーラーパネル依存の電気もありました。
町に出る日常の足としてモーターバイクを持っていて、私もよくマブドゥに乗せてもらって出かけたものです。
交通ルールは・・・2人乗りはいいが3人乗りは禁止。ヘルメット着用義務はなし(着用は5%以下)。ライト不点灯は取締対象。飲酒運転をしている人が多い。これは許されているとマブドゥは言っていたが、果たして本当なのか…?
大きな道路の交差点では警察官が交通整備と取締をしていましたが、警察官がいない場所での信号遵守率は7割ほどでした。
「そこの信号は赤でも止まらないことになっている」とか、信号で止まるにしても、信号を少し通り過ぎたあたり(その位置から信号は見えない)で止まって、青になって後方者がクラクションを鳴らすのを聞いて先頭は出発するとか・・・
「練習したら運転できるようになるよ」と勧められたが、やんわり断わりました。
日々の食事はどんな感じですか?
とても美味しい。肉も魚も野菜も芋も米も小麦料理も、様々なものがありました。初日は、肉じゃがを作ってくれました。じゃがいもは少し高価なため、特別な日に食べることが多いそうです。日本のものより醤油系の味が薄めで、塩が少し強い感じ。
2日目に食べたヤギの頭と脚先の、脂の乗った味は暑さで体力が取られた私の身体に効きました。レタスをベースに卵やパプリカを含んだシーザー系サラダも絶品。
ブルキナファソ経験者から生野菜を食べるとお腹を壊すと聞いていたため、多少の覚悟はしましたが、僕の場合は全く問題なかったです。
朝は喫茶店のような所に食べに行きます。だいたい70円くらいでカフェオレと玉子サンドが食べられます。ガトウという軽食もあり、これもよく食べました。
ケンケレバというマラリア予防の効果がある伝統的な温かい飲み物を出すお店もありました。売り切れる量しか作らないので朝8時前にはなくなります。生姜をたっぷり効かせているので生姜湯みたいなかんじ。
夜のメニューは決まって牛肉のスープで、癖があるが美味しい。60円と100円で選べますが100円の方なら満足感のある量です。オムレツとセットで食べると何だか贅沢した感覚になったものです。
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クスクス:スープなどに浸しながら食べる。 | リグラ:パエリアのような食べ物。米を茹でるように調理する。 | サモサ:揚げ菓子。甘さはない。25円ほどでお腹いっぱいになれる。 |
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サガボ:この国の主食。週3、4回は食べる。強いて言うなら温かい豆腐。スープに浸しながら食べる。トウモロコシの粉やポカリの粉などを混ぜることも。 | レゲェ:ヨーグルトのような食べ物。甘い。穀物混ぜているためシリアルのような食感もある。 | キパレと呼ばれる黄色い香辛料:ブルキファナソ人は、あらゆる料理に大量に付けて食べる。幾つか種類があるが、基本的に非常に辛い。 |