2018年4月10日
2018年4月より新しく理学部長になりました野崎浩二です。よろしくお願いします。2,3代前の理学部長から始まった「学部長のつぶやき」、私も引き継いでいこうと思います。月2回の投稿を目標にしたいと思います。 さて、4月8日(日)は湯田温泉祭りに一人で出かけてみました。湯田温泉は山口市の市街地にある温泉であり、県庁所在地である山口市の夜の社交場も兼ねています。湯田温泉の開湯は約800年前とされ、“白狐伝説”が温泉発見の由来として伝わっています。湯田温泉祭りは別名「白狐祭り」とも呼ばれます。 お祭りの主な会場は湯田温泉の中心部の井上公園です。以前は高田公園と呼んでいた時期もありますが、今は「井上公園」です。湯田で生まれた長州藩士、井上馨にちなんだ公園です。井上馨は、長州藩から派遣されヨーロッパに秘密留学したいわゆる「長州ファイブ」の一人であり、明治維新後は外務卿を勤めました。ただし、あの吉田松陰の松下村塾の塾生ではありません。(この辺りのことは前の松野理学部長による「学部長のつぶやき」に譲ります。バックナンバーをご覧ください。) |
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なぜお祭りにオヤジがひとりで? それは「山口酒祭り」があるからです。酒祭りといえば、中国地方では秋に開催される広島県東広島市(広島大学の本部所在地)の西条酒祭りが有名ですが、ここ湯田温泉でも秋に「湯田温泉酒祭り」が開催されます。湯田温泉祭りではその縮小版コーナーがありました。最近全国区になってきたようですが、山口は全国に誇れる日本酒処です。その地酒が1000円で試飲し放題!日本酒が大好きな私にとって魅力的な祭り。ちなみに私は山口出身です。 2年前の湯田温泉酒祭りでは岩国市錦町の堀江酒場の「金雀」というすばらしいお酒に出会いました。さらに昨年は若い主人が祖父の酒造を復活させた「阿武の鶴」というお酒がヒット。酒祭りでは新しい出会いがあります。 |
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私が最も好きなのは、なんといっても澄川酒造の「東洋美人」です。安部首相がロシアのプーチン大統領に振舞ったので話題になりました。私は昔から澄川酒造の大ファン。今のご主人になってさらに大ファンに。阿武の鶴酒造を復活させるときも若き主人のサポートをしたそうです。とても人柄のよさそうな方です。東洋美人で有名な澄川酒造、他にも「地帆紅(じぱんぐ)」、「壱番纏」などの東洋美人ブランドの日本酒もあります。私はその中でも(今はもうなくなった)「澄川」というお酒が大好きでした。東洋美人、機会あれば是非お試しください。(未成年の皆さんは二十歳になるまで待ちましょう。) この日本酒、米、米麹、水から作る醸造酒ですが、当然その歴史は古く、各酒蔵がいろいろな方法を試しながらよいお酒を造ろうと努力し続けてきました。最近の山口県の日本酒造りには、酒蔵の若い後継者の新しい発想が取り入れられているそうです。例えば山口で有名なあの「獺祭」はデータサイエンスの賜物だそうです。収集データに基づいた徹底した製造工程管理の結果、それまでになかった日本酒の味が出せているようです。一方で、伝統的な手法でアプローチする若き酒蔵の主人もおります。酒米や水といった原料の良さを前面に出そうとするやり方。まさに日本酒造りは酒蔵の研究開発そのものであり、日本酒はその成果なのです。そのような酒造りにも根本にはサイエンスがあります。理学部でのサイエンスの研究と酒造り何か共通点があるはずですね。
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さて、湯田温泉祭りに行ってみたもう一つの理由は「薩長同盟」というお酒を買いたかったからです。2018年は明治維新150周年。この薩長同盟は山口の山田錦(酒米)の籾殻を鹿児島で栽培し、山口市内の酒造で造ったお酒です。山口大学と鹿児島大学の農学部のコラボによるものです。先行販売があり、手に入れることができました。まだいただいておりませんので、次回感想などを投稿いたします。 私のことをよく知っておられる方は、やっぱり「学部長つぶやき」の1回目は日本酒ネタかと思われたに違いありません。私の研究の専門分野は高分子物理学であり、日本酒造りとは関係がありません。しかし、同じ研究という点で何か通じるものがありそうです。各酒蔵の研究成果には惹かれます。これからも、たまには日本酒ネタをご提供していきたいと思います。乞うご期待。今後ともよろしくお願いします。 |
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