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2021年4月7日

 令和3年度が始まりました。理学部長4年目です。よろしく願いします。46日に無事入学式を挙行しました。2回に分け、時短で開催でしたが、挙行できたことが何よりです。フレッシュな1年生と対面でき、うれしく思いました。

 「神サイ」流行っているようですね。FMラジオでもよく「神サイ」の曲が流れます。「神はサイコロを振らない」というバンドです。私が初めて名前を知ったのはFMラジオで曲聴いたときでした。なかなかよい曲だなあと思いましたが、やはりバンド名が気になりました。なぜ彼らはこの「物理学」に関連する名称を使ったのだろうと。
 一応、物理学をかじっているものとしては「神サイ」は聞き逃せない名前です。ご存知の方も多いと思いますが、この言葉はアインシュタインが「量子力学」の考え方に納得せず、量子力学を批判した言葉と言われています。私もニュートンの確立した古典力学を学んだ後、初めて量子力学の話を聞いた時には、その概念がなかなかイメージできませんでした。おそらく、物理学を学んだ方のうち、一定の割合で同感という方がおられると思います。
 アインシュタインは納得できない内容を「神はサイコロを振らない」という非常にわかりやすい一言で表現しています。(この言葉で表現していることの凄さは量子力学というものをある程度説明しなければならないので、ここではやめておきます。)これぞArtsと思います。先日の記事でSTEAMについてお話ししましたが、そのAArtsです。わかりやすく印象に残る短い言葉で言い切っています。昔の学者や偉人は多くの名言を残しています。Artsの素養をもっていた方が多いですね。
 日本で二人目のノーベル賞受賞者で朝永振一郎先生(ノーベル物理学賞)の著作で、量子力学の概念を扱った一般書に「光子の裁判」とう本があります。物語の主人公は波乃光子といいます。量子力学を学んだ者にはとてもよいネーミングであり、とてもわかりやすいたとえ話であることがわかります。このようなネーミングができるのもArtsの素養があるからですね。「光子の裁判」は私の学生時代に量子力学の講義をしてくださった教授が2,3回の講義時間を使って朗読してくださいました。とても印象深い思い出です。
 Artsの素養、もっておくと人間の幅が広がります。

 

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