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2021年9月2日

「萩ジオパークシリーズ」第4弾最終回

 まずは、「畳ヶ淵(たたみがふち)」に行ってみました。前から行きたかったのですが、機会を逃し、なかなか行くことができなかった場所です。山口県の北東部、島根県との県境近く、それも、山口市から島根県の津和野を経由して益田市に抜ける主要国道である国道9号線からもかなり離れており、ちょっと寄ってみようという場所でもありません。
 畳ヶ淵を始め、この付近には約40万年前に「伊良尾山」(前回ご紹介した火山)から流れ出た溶岩が14kmほど「田万川」に沿って流れ固まって、奇妙な地形を形成しています。この溶岩流は「龍が通った道」と呼ばれています。
 畳ヶ淵は駐車場も整備されており、途中の道も広く行きやすい場所です。駐車場から林に囲まれた階段を谷に向かって下りていくと渓谷に感動的な風景が広がります。多角径の柱状の石を敷き詰めたような場所が広がっており、川の両端の崖も多角形の石柱が見られます。もちろん水は透明でとてもきれい。駐車場からわずか5分で別世界です。

「畳ヶ淵」の駐車場の案内板
 「 畳ヶ淵」の風景

 この多角形(主に六角形)の柱状の石は溶岩が冷えて固まる際にできたものだそうです。詳しくはパネルの画像を拡大してご覧ください。高分子の結晶化の研究をしている私、この奇妙な形状のパターン形成についてはいろいろと想像が膨らみました。岩の上の水たまりを見てみると生き物があちらこちらに。

 次は自動車で再び移動し、「猿屋の瀧(さるやのたき)」へ。何も知らない私、「瀧(滝)」だから谷に向かって降りていくのだと思い、駐車場に車をとめて、歩き出したとたんに目の前のパネルと風景に気づきました。なるほど。先ほど谷底から見た多角形の柱と同じような崖がありました。

「猿屋の瀧」の駐車場の案内板。水田の前にあります。

「猿屋の瀧」の絶景

 最後は「龍鱗郷(りゅうりんきょう)」です。「猿屋の瀧」から「龍鱗郷」までの道は車同士も離合する(「すれ違う」の方言?)ことが困難な山の中の道路です。久々に緊張のドライブでした。現地に到着すると、目の前に絶景が。農道の切通の断崖がすべて石柱です。伊良尾山から流れ出た溶岩の終着地点だそうです。切通の道路を挟んだ反対側の崖の上に展望台が整備されています。展望台の上にも石柱を使ったモニュメント?がありました。最後に石柱の断崖をバックに記念写真を。「龍の鱗」なるほどですね。

「猿屋の瀧」の駐車場の案内板。水田の前にあります。

展望台の上にはこんなものが
石柱の断崖

 「龍の通った道」をはじめ、「畳が淵」、「猿屋の瀧」、「龍鱗郷」とてもよいネーミングですね。以前、記事に書きましたが、まさしくSTEAMです。龍の通った道は私にとっては感動の道でした。
 その道を抜けると最後は萩市の小川地区というところに到着します。私が最も好きな山口の地酒「東洋美人」の澄川酒造があります。私にとってはいわば「聖地」です。きれいな水、日本酒造りには必須ですね。以前、本学部の地球科学の教員から教わったことがあります。山口の有名な酒造のほとんどは断層の近くにあるとか。

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