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2021年12月22日

 2021年もあと10日ほど。私の学部長の任期も残すところあと3か月。次の学部長も決定し、ほっとしております。
 学部長を務めた4年間の後半2年は「新型コロナウイルス感染症対策」に奔走される日々でした。その一方で研究もそれなりに進める必要もあります。特に、大学院生の研究指導、企業との共同研究は学部長業務の合間を縫って進めてきました。よく「学部長の間も授業や研究をするのですか?」と聞かれますが、答えは「します」です。もちろん、研究に割く時間は著しく減りますが。

 そのような中、この2年間は企業との共同研究の関係もあり、佐賀県鳥栖市の「佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター」で延べ20日の実験をやらせていただきました。(202084日の記事でも紹介しました。)この実験のほとんどは、20回すべてに同行してくれた大学院博士前期課程の2年生と半数程度に同行してくれた博士前期課程1年生の大学院生がしてくれました。実験はこの大学院生たちの修士論文のための研究の一部です。

12月16日(木)、2年間の最後の実験を無事終えました。この20回の実験で、たくさんの研究成果をあげることができました。学部長の任期が終わったら論文がいくつか書けそうです。実験をするための多くの実験技術・方法、そしてそれに用いる実験装置を新規に開発することもできました。画像は九州シンクロトロン光研究センターでの実験の様子です。大学ではとても揃えることのできない様々な機器を使うことができます。実験の初期のセッティング等々はセンターのスタッフの皆さんのサポートなしにはできません。所長さんをはじめ、各方面のスタッフの皆さん、センターに関係のある外部の方等、多くの方々と知り合いになれたことも私にとっては大きな成果でした。

画像の奥から手前に向かって強いX線が出てきます

X線が入射する経路に試料の温度を制御するホットステージ(山口大から持参)を設置しています
制御用パソコン画面と解析用パソコン画面
試料の温度制御用の温度コントローラ(山口大から持参)

 そして最大の成果は、大学院生の成長です。実験計画、具体的な準備、事前に大学で実施する予備実験、そして他者とのコミュニケーションなどいろいろなことを経験し、そのための能力が身に付きました。最終的にはすべて博士前期課程2年の大学院生主導で実験を行いました。来年4月からはメーカー企業の技術職としての採用が内定していますが、即戦力になれると期待しています。
 今回は最後に、大学院生自身が見出したこの研究の鍵となる現象を再現する実験を、大学院生には内緒で密かに計画に組み込んでおきました。粋な計らいのつもりでした。ところが、私の事前の詰めが甘く、実験条件設定で些細なミスをしており、結局、現象の再現ができませんでした。やはり、事前の綿密な検討、特に複数での確認は重要です。個人プレーが招いたミスです。反面教師としての役割しかできませんでした。

 最後に、2年間の施設利用の計画を採択してくださいましたセンターの関係者の皆様、実験をサポートしてくださったセンタースタッフの皆様、ご支援くださった共同研究先の企業の方々、そして実験をしてくれた大学院生の皆さんに感謝いたします。

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