発生細胞生物学研究室
「胚の細胞の増え方と運命決定を協調させる仕組み 」
教員
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上野 秀一 准教授 |
研究内容
体の作られる仕組みを調べる目的でカエルの卵・胚がよく使われています。おたまじゃくしになるずっと前の段階の初期胚では、卵割期にどんどん体を作るための細胞を増やします。この分裂速度がゆっくりになり、高校の教科書にも出てくる分泌因子を介した中胚葉誘導、細胞の働きに必要なタンパクの個々の設計図でもあるmRNA群の大幅な入れ替え(母性mRNAから胚性mRNA)による細胞の分化(役割の変化)などが一斉に起きます。一方、細胞の中にはその働きを決める様々な小さな構造である細胞内小器官(ミトコンドリア・小胞体・ゴルジ体など)があります。これらは分裂が盛んな時期は、小さな構造に分かれているため、うまく機能することができないと考えられます。そこで初期胚で分裂がゆっくりになることが、これらの細胞内小器官が大きく、複雑になる時間を与え、細胞が様々な機能を持てるようになると考え、その仕組みを調べています。
蛍光タンパクを使い観察したカエルの初期胚細胞内の小胞体(緑)とミトコンドリア(赤)の様子。中央の核の周辺部に複雑に細胞内小器官が広がっている。