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お菓子とハーディ・ラマヌジャンの定理

大学構内で,いつも笑顔で挨拶してくれる学生さんがいます.先日は,お菓子までくれました. 一体どこの誰だろうかと思い話しかけましたら,何年か前に私が担当した共通教育の講義・自然科学Iを受講した教育学部の学生さんでした. たった数回しか講義していないのに,覚えてもらっていてとても嬉しいです.

自然科学Iは,1年生向けで,理科と数学についての全部で7回(8回目は試験)の講義です. 恐らく,私はこの学生さんに,自然数 \(n\) の素因数の個数についてのハーディとラマヌジャンの定理を講義したと思います.

自然数 \(n\) の相異なる素因数の個数を \(\omega(n)\) と記すことにします.例えば,

\[ \omega(1)=0,\; \omega(2)=1,\; \omega(3)=2,\; \omega(4)=1,\; \omega(5)=1, \] \[ \omega(6)=2,\; \omega(7)=1,\; \omega(8)=1,\; \omega(9)=1,\; \omega(10)=2. \]

これについて規則性を見出すのは大変そうです. ハーディとラマヌジャンは 1917 年の論文で,\(\omega(n)\) は「ほとんど \(\log(\log n)\) と近似される」という定理を示しました.

 

ハーディ・ラマヌジャンの定理:

任意の \(\varepsilon > 0\) に対して,

\[ (1-\varepsilon)\,\log(\log n) \;<\; \omega(n) \;<\; (1+\varepsilon)\,\log(\log n) \]

を満たさない \(n\)(\(1 \le n \le x\))の個数を \(N(x)\) と書くと,

\[ \frac{N(x)}{x} \;\longrightarrow\; 0 \qquad (x \to \infty) \] が成り立つ.

今,振り返ると,1年生にはとても難しい講義だったと思います(微分積分を用いました). 実は,当時,大学院生とこの定理を元にして研究していました.それで勢い余って講義のテーマに選びました. 難しい講義だったのに,お菓子までくれてありがたいです(お礼のお菓子を考え中です).

インドの天才数学者ラマヌジャンは 1920 年 4 月 26 日,32 歳の若さで亡くなってしまいました.(南出)

 

参考文献

  • G.H. Hardy, P.V. Seshu Aiyar, B.M. Wilson 編 Collected Papers of Srinivasa Ramanujan, AMS, 2000.
  • G.H. Hardy, E.M. Wright, An Introduction to the Theory of Numbers, 第6版, Oxford University Press, 2008.
  • ロバート・カニーゲル(田中靖夫 訳), 無限の天才, 工作舎, 1994.
  • 内山三郎, 素数の分布, 宝文館, 昭和45年.

 

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