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ハチに注意!!

9月16日はとても暑い日でした. 夕方, くたばりながら, おいしいクッキーを食べていると, 理学部の建物に巨大なハチの巣があると耳にしました. 早速, 見に行きましたら, ハチの巣は私の研究室の(外側)直ぐ近くにありました. そして, 6センチはあるハチが私の手にしているクッキーめがけて飛んで来たので怖かったです. 普段は, 研究室の内側にいるので全然気が付きませんでした. 自分の事ばかり考えていると, 周りの環境が見えないものだと改めて思います. それにしてもデカイ巣です. ブンブン飛んでいるハチもデカイです. 一体何を食べているのか. クッキーは絶対にやらんぞ.

今昔物語にある鈴鹿山のハチの話です:
京都に水銀で商売する人がいました. かなり儲かったらしくこの人お金持ちです. 水銀は伊勢(現在の三重県辺り)で採れたので, 京都と伊勢を行ったり来たりしていました. 「近江泥棒, 伊勢乞食」などという汚い言葉がありますが, この物語の中でも, 伊勢の人は弱き者の持っているものをはばからず奪い取って自分のものにすると書かれています. このような状況でも, この大金持ち水銀商は伊勢でものを取られることはありませんでしたが, 年老いてきたある日, 山賊に目を付けられてしまいます. いつも通り, 水銀商は余裕綽々無防備で, 召使いの少年たちに100匹あまりの馬の馬追をさせ, 馬には絹やら米やらを載せて, 食事の用意をする女たちも引き連れて, 鈴鹿の山を通って京都に向かっているとき, 山賊80人あまりに取り囲まれます. 少年たちは逃げることができましたが, 女たちは高級な着物を奪われポイっと棄てられます. 馬と馬に載せていたものも奪われます. 水銀商はなんとか一匹の小さい馬に乗って逃げることが出来ました. 山賊たちは奪ったものを, 争いながらそれぞれが思い思い自分のものにします. 人のものを奪い取るとか, 人をポイっと棄てるとか, 現代社会は当時と大して変わりありません.

山賊たちが愚かなことをやっているときに, 山頂に辿り着いた水銀商は, 空に向かって「どこにいるのだ!早く来い!」と声を上げます. しばらくすると, ブンブンブンと10センチ近い巨大なハチが一匹やって来ます. 水銀商は「遅い!遅い!」まだ空に向かって言います. そのうち, 空中に幅6メートルほどで, 長い長い尾を引いた赤い不気味な雲が現れます. 巨大なハチの大軍です. そして, ハチの大軍は山賊の元に向かいます. 山賊一人につき, 二, 三石のハチが襲い掛かりました. あっという間に 80人余りの山賊は全滅させられます. ハチのお陰で水銀商は奪われた物品だけは取り戻せました. このお金持ち水銀商, 家で酒を造っているのですが, 酒を自分にも人にも飲ませずにハチに飲ませて, 崇めていたのです. それで, ハチが用心棒みたいなことをしていたのです.

私が最初に数学の講義をしたのは, 三重県にある鈴鹿高専です. 今思うと, ヘタクソな講義で恥ずかしくなります(まぁ, 今でもヘタクソですね.). ヘタクソな講義に不平不満も言わずに, 熱心に勉強する鈴鹿高専の学生さんたちの姿にずいぶん励まされたことを, 理学部のハチの巣を見て思い出しました. 鈴鹿高専の学生さんにクッキーを戴いたことを覚えています. ありがとう. おいしかったですよー.(南出)

参考文献

  • 池上洵一 編 「今昔物語集 本朝部 下」岩波文庫 黄19-4, 岩波書店, 2001. (p.406—p.410)
    (鈴鹿ではなく, 鈴香と書かれています. 中里介山の「大菩薩峠」にも鈴鹿山がでてきたような気がします. あまりにも長いので途中で読むのを止めました.)

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