京都・伏見・深草にある欣浄寺から, 毎晩毎晩ある男が出かけて行きます. 徒歩で, 山科・小野の随心院まで. 小雨でも, 大雨でも, 雹でも, 歩きです. 車で駆けつけるような, みっともないことはしません. 歩きながら男は, 随心院で一体何を話そうか, 今日の仕事の成果の話をしよう, いやそれとも今朝の朝食の話をしようか, やはり子供時分の話の方が良いか, と自分の頭を振り絞って考えます. 手には, 午後三時くらいから仕事を放棄して書いた長い手紙を握りしめています. 書かれているのは事実をかなり誇張したノンフィクションに見せかけたフィクションです. 数学の勉強も自分で考えることが大切です. 他人が答えたものは勉強になるかも知れませんが, 楽しさに欠けます. 数学をするとき, ノートに字を書きながら考えたことを整理すると, 理解が深まります. ただし, 数学の場合はフィクションはダメです. 世の中, することと言うことが異なる人は多いですけどね.
随心院めざして男は歩きます. 夜道の途中, 野犬に吠えられたり, ヤバい人たちとすれ違ったりして, なんとか随心院に辿り着きます. 男は手紙を口にくわえて, 壁をよじ登って, 不法侵入します. 目当てのお宅はまだ灯りがついています. コンコンと戸を鳴らすと, 内から女の声が聞こえます. 「仕事中です. 閻魔様が地獄に来た人のために詠む歌の添削に忙しいです. 邪魔しないでください. ところで, 昨夜置いていった手紙は何ですか?ハチに酒を飲ませようとして刺されたとか, ウソクサイ. もう少し面白い話を書いて頂きたい」男は女に言われて, ガックリうなだれて, とぼとぼと深草・欣浄寺に帰ります. 野犬にも吠えられます. あくる晩も, その次の晩も, 毎晩毎晩, 男は懲りもせず深草から小野に歩いて向かいますが, 随心院に通い始めて九十九日目, 冬の寒い夜, 男は大雪の中でバタっと倒れて亡くなってしまいます. 男は深草少将, 女は小野小町です.
共通テストまであと100日です (10月8日から1月15日までの100日). 山口大学理学部数理科学科の受験を考えているみなさん, これからの百夜の受験勉強で百夜通いの深草少将みたいにバタっと倒れないでください. 朝ご飯をしっかり食べて, 毎日よく寝て, 健康的に, 冬の寒さに負けずに咲く梅の如く堂々と入試に臨んでください. 親御さんも応援しておられると思いますよ.
なお, 閻魔と交流があったと言い伝えられるのは小野小町ではなく, 小野篁です. 京都・東山の六道珍皇寺の話です. 上の話は私が勝手に書きました. 受験生のみなさん, 騙されてはいけません. 試験の問題文を, 落ち着いて読んで, 冷静に対処することが大事です. そして, 適切に休みながら受験勉強して共通テストを乗り超えて, その次, 山口大学理学部数理科学科の試験を乗り超えてください. (南出)
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参考文献
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時間がなかったので, 百夜通い伝説の文献を調べられませんでした. すみません. 私は京都の山科に生まれ育ちましたので, 随心院の梅を見たことがあります.
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尾崎将也 作 蒔田陽平 ノベライズ 「梅ちゃん先生 下」, NHK出版, 2012.
p.205より書き抜きます:「冬の寒さの中でも緑を保つ松、雪の重さにも負けずにスクッと生える竹、そして寒さの中で花咲かせる梅。これらは中国では歳寒三友(さいかんのさんゆう)といい、清廉潔白な生き方のたとえとされている。松、竹、梅に上下の順番なんかない」


