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南極フィールド調査から探る南極氷床融解メカニズムと海水準上昇(菅沼悠介:国立極地研究所)

  • 2022年7月7日(木) 17:50~18:50
  • 理学部22番教室

第1回理学部講演会

地球科学分野では、以下の内容で理学部講演会を開催いたします。
多数ご参加いただきますよう、宜しくお願い申しあげます。
対面方式で実施しますので、ご参加の際はマスクの着用をお願い致します。

内容

講演者:菅沼悠介先生(国立極地研究所)
題目:南極フィールド調査から探る南極氷床融解メカニズムと海水準上昇

概要

近年,南極氷床融解の加速が相次いで報告され,地球温暖化に伴う近未来の急激な海水準上昇が社会的にも強く懸念されている.一方,このような氷床の融解傾向は,過去数十年の観測から得られたもので,短周期の揺らぎである可能性もあり,長期的に継続し,やがて地球環境の激変につながるような現象であるかについては,不明な点も多く残されている.一方,南極氷床融解の予測には精密な大気-海洋および氷床モデルシミュレーションが不可欠であるが,現状の氷床変動,とくに融解メカニズムの理解は充分とはいえず,現状の海水準上昇の将来予測には不確実性が大きい.これらの問題を解決するためには,南極および周辺海域の地形・地質記録から長期的な南極氷床の変動を精密に復元し,氷床融解のメカニズムを解明するとともに,その結果を各モデルシミュレーションの再現性確認やモデル較正に繋げていくことが有効である.
そこで近年,我々は東南極の周辺海域および沿岸露岩域を対象として,砕氷船「しらせ」による初めての本格的な海底堆積物掘削,新開発の地層掘削システムを用いた凍結湖沼上からの湖底堆積物掘削,さらには露岩域での氷河地形調査と東南極初の本格陸上ボーリングなどを実施することで,過去数十万年間における長期的な東南極氷床変動の復元とそのメカニズムの解明を進めている.本講演では,本研究プロジェクトの概要と,最近明らかになってきた最終氷期以降の急激かつ大規模な氷床融解のメカニズムについて紹介したい.

問い合わせ先

岩谷北斗

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