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地磁気逆転とチバニアン

  • 6月20日(火) 18:00-19:30
  • 理学部22番教室

第1回理学部講演会開催のおしらせ (2023年度)

講演者

菅沼悠介(国立極地研究所 地圏研究グループ・准教授)

概要

20201月,国際地質科学連合によって,前期中期更新世境界の国際境界模式層断面とポイント(Global Boundary Stratotype Section and Point: GSSP)が,房総半島中部の地層「千葉複合セクション」中に認定された.この結果,中期更新世(約77.4千年前〜12.9万年前)が「チバニアン期」となり,日本の地名由来の地質時代名称がはじめて誕生した.
GSSP を認定する上で重要な基準は,陸上に露出した海成層であること,変形や岩石の変質などが著しくなく,化石や地磁気変動の痕跡などが保存され,地層の年代が詳しく調べられていることなどである.とくに今回の前期中期更新世境界GSSPでは,いちばん最近の地磁気逆転である「松山‐ブルン境界」が重視された.これは,前期中期更新世境界には汎地球的明瞭な気候イベントがないため,地磁気逆転が地質時代境界を認識する上でもっとも重要だったためである.房総半島には,約240万年前から45万年前頃に形成された海成層である上総層群が分布する.千葉復元セクションは千葉県市原市を流れる養老川沿い等に露出する約80万年から75万年前頃の地層で,上総層群中の国本層中部に位置する.前期中期更新世境界GSSPは,千葉複合セクションに明瞭に認められる「松山‐ブルン境界」を基に,その直下の白尾火山灰層下面に定められた.
地磁気逆転とは,地球の双極子磁場が180度反転する現象であり,この現象の発見には,山口大学の初代学長である松山基範博士が大きな貢献をした.今回の講義では,地磁気逆転研究の発展を中心としつつも,チバニアン申請から誕生までの経緯も紹介する.

問い合わせ先

創成科学研究科(地球科学) 岩谷北斗
内線:5748

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