博士課程後期2年の池田尚史さんの研究が米国科学雑誌サイエンスに掲載されました。この研究論文は、地球規模で生じている気候変動に関わる重要な発見です。池田さんが修士1年のときに乗船したアメリカ掘削船「ジョイデス・レゾリューション号」での共同研究の成果です。
研究成果の要約
第四紀に相当する過去約258万年間の地球は、北半球で巨大な氷床が数万年単位で拡大と縮小を繰り返す「氷期・間氷期サイクル」を気候システムにおける特徴の一つとしています。本研究は、ポルトガルのイベリア半島沖の海底堆積物を分析し、約270万年前に北半球での氷床拡大と同時期に、この寒冷な「氷期」の最中に起きる、数千年スケールの急激な気候変動(millennial climate variability; MCV)が始まったことを実証しました。このMCVは、約270万年前の単発的な前兆現象として現れ、約250万年前には繰り返し発生するようになりました。これらの時期は、陸上の氷床から海に崩れ落ちた氷山が運んできた砂や石(ice-rafted detritus; IRD)が北大西洋に堆積した時期と一致しています。一度始まったこの激しい気候変動は、その後の第四紀の氷期を特徴づける気候システムとして地球に定着しました。本成果は、北半球の氷床拡大が地球の気候システムに及ぼした重大な影響を強調するものであり、約300万年から250万年前に出現したとされる初期人類(ホモ属)を含む生態系とその進化の背景を理解する上でも重要な意味を持っています。