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山口大学共同獣医学部

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共同獣医学研究科博士課程2年 仲村岳真さんが
「日本細菌学会優秀発表賞」を受賞しました

 共同獣医学研究科博士後期課程獣医学専攻2年の仲村岳真さん (獣医公衆衛生学研究室) が、2022年3月29日 ~ 31日にかけてオンライン開催された日本細菌学会総会において、優秀発表賞を受賞しました。

 対象となった研究発表は、「野兎病菌の免疫回避因子の探索」です。野兎病菌はヒトに対し致死率の高い重篤な感染症「野兎病菌」を引き起こすことで知られる病原細菌です。本研究で仲村さんは、野兎病菌が宿主の免疫機構を回避するために重要な遺伝子の探索を行いました。結果として、免疫回避に重要と考えられる遺伝子を新たに複数同定し、そのうちの1つ、野兎病菌のpyrC※1遺伝子が宿主細胞のSTING※2を介したサイトカイン※3産生の回避に重要であることを明らかとしています。この結果は、未だ病原性機構の大部分が不明である野兎病菌の病原性機構の解明やワクチン開発に寄与するとともに、宿主であるヒトが持つ免疫系の理解促進にも繋がるものです。

 受賞に対し仲村さんは、「このような名誉ある賞をいただき、誠に光栄です。ご指導いただきました先生方や関係者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。この度明らかにすることができた機構は、病原体と宿主の間に生じる多彩で興味深い攻防のほんの一部にしか過ぎません。しかし、今後自身の研究を発展させる上では非常に大きな糧になったと捉えております。今後も気を引き締め、この評価に恥じない研究ができるよう精進いたします。」と感想を述べています。



  • 用語解説

    ※1 pyrC: 野兎病菌が持つ遺伝子。DNAやRNAなどの核酸を構成する、ピリミジン塩基の合成に関与している。

    ※2 STING (Stimulator of interferon genes): ヒト細胞内に存在する免疫関連分子。病原体由来DNAなど「異物」の認識により活性化され、サイトカインであるI型インターフェロンの産生を誘導することで感染防御に寄与する。

    ※3 サイトカイン: 主に免疫系の細胞が分泌するタンパク質。多数種のサイトカインが存在し、それぞれ他の免疫細胞の活性化や抑制を促すことで免疫機能を調節している。



賞状を手にする仲村岳真さん