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山口大学共同獣医学部

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インドネシアでのJICA草の根事業(2022—2025)終結式を挙行しました

 2022年7月からJICA草の根事業「ジョグジャカルタにおける農業従事者の生活向上のための牛繁殖効率の改善(支援型: GMU-YU:2022.7—2025.7)」に、本学部とガジャマダ大学獣医学部は連携して取り組んで来ました。事業終了を目前とした2025年7月2日に、事業を推進してきたジョグジャカルタ特別州・グヌンキドゥル県で事業終結式を挙行しました。

 本学部から本事業に係わってきた佐藤宏教授、谷口雅康准教授、Topas Wicaksono Priyo Jr専門家の3名が代表として出席し、ガジャマダ大学からは地域貢献部長Suparno教授、獣医学部長Teguh Budipitojo教授、副学部長Agung Budiyanto教授、国際連携担当副学部長Aris Haryanto教授、事業対象地となったグヌンキドゥル県からは知事Ms. Endah Subekti Kuntariningsih、県議会議長Ms. Engang Sri Sumiyartini、農業畜産部長Ms. Wibawanti Wulandari、家畜保健部門長Ms. Retno Widyastutiの他、県内6家畜診療所の獣医師、人工授精師、パラメディク、農家の皆さんなど、多数の出席がありました。また、事業を統括するJICAインドネシア事務所からは坂陽介事務官から祝辞が述べられました。

 本事業3年間の総括が谷口雅康准教授から説明され、卵巣機能不全から発情徴候の乏しいPO (プラナカン・オンゴレ)牛や交雑牛に対して、高い妊娠率を実証する定時人工授精法が地域の人工授精師、獣医師に技術移転でき、最長4年間妊娠していなかった牛や、出産間隔が40ヶ月以上だった牛の多くが再妊娠に成功している事例が紹介されました。また、卵巣の大きさを事前に把握することで、格段に高い定時人工授精法の妊娠率が得られる点、人工授精後の口蹄疫感染が妊娠率に与える深刻な影響も本事業のなかで明らかにされたことも紹介されました。

 山口大学とガジャマダ大学獣医学部、そして、グヌンキドゥル県畜産関係者が連携して取り組んだ本事業は、当初の目的とする小規模農家での畜産振興の戦略を示し、そのための知識と技術の移転を有機的な関係性のなかで実現できました。この取り組みは、グヌンキドゥル県の小規模農家に限らず、インドネシア全土での畜産業の発展に繫がる重要な示唆が溢れています。事業で試みられた畜産振興戦略は今後も継続され、畜産に係わる人材育成は引き続き行われなければなりません。

 今後の課題もいくつか明らかになっています。ガジャマダ大学獣医学部、そして、グヌンキドゥル県からは今後とも国際連携事業の発展継続が強く望まれています。本学部は今後とも海外獣医系大学と連携し、畜産振興と社会福祉の実現に向けて取り組んでいきます。


★本事業に関するインドネシアでの報道・記録については下記をご参照ください。
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7月2日、JICA草の根事業終結式典参加者による記念撮影


7月3日、ガジャマダ大学獣医学部で事業成果報告会(谷口雅康准教授)

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