理学部 生物学科
山口大学理学部生物学科では、学生がディプロマ・ポリシーを満たすために、教育課程・教育内容、教育方法及び学修成果の評価についての方針を以下のように定めます。
1.教育課程・教育内容
- 生物学科の教育課程は共通教育科目(教養コア系列、英語系列、一般教養系列、専門基礎系列)及び理学部専門科目(理学部共通基礎科目、学科専門教育目、データサイエンス教育科目、課題解決型教育科目)で構成されます。
- 1年次から2年次には、共通教育科目における教養コア系列、一般教養系列、専門基礎系列理系基礎分野の科目では、各自が高等学校卒業までに得た知識・技能をもとに、社会に出た後に最低限必要となる汎用的技能、多文化・ 異文化に関する知識及び理系の基礎知識の定着を図ります。自然科学について広く知り、データサイエンスの素養及び数量的スキルの基本的な能力を育成します[DP1-1]。
- 1年次には、共通教育科目の教養コア系列の「基礎セミナー」と英語系列の科目を配置し、プレゼンテーション能力や事実や自らの考えを正しく伝えるための日本語能力、知識の修得に必要な英語の基礎的な能力を育成し、自然科学における様々な知見を根拠・理由とともに説明できるとともに、他者の説明からその主張及び根拠を正しく判断するための基盤的能力を築きます[DP1-2]。
- 1年次に共通教育科目の教養コア系列の「基礎セミナー」と情報処理分野の科目(「データ科学と社会 I・II」)を配置し、様々な手段を用いて問題解決のために必要な情報を収集し、その情報の妥当性を適正に判断し、情報モラルに則って効果的に活用することができる基礎的な能力を養成します[DP1-3]。
- 1年次から3年次前期には、専門科目として動物・植物及び微生物を対象とした生物学全般及び細分化された専門領域の科目を配置し、生物学領域の基礎・専門的知識を体系的に育成します [DP2-1(a), DP2-1(b)]。
- 1年次には共通教育科目として、さらに2年次から3年次前期には専門科目としてデータサイエンス教育科目を配置し、情報リテラシー、統計学や機械学習の基礎を学ばせ、データサイエンスを生物学に活用するための基盤を育成します。さらに、生物学領域特有の生物データを管理・処理・分析する上での専門知識、その中に隠れている関係性を見つけるための方法論を育成します[DP2-2, DP2-3]。
- 1年次から3年次前期には、アクティブ・ラーニングを実践します。2年次後期から3年次後期の学科専門教育科目の実験科目においては、「自らの専門分野となる生物学」として1年次から3年次前期に学修した講義で身に付けた知識をもとに実験科目を履修することで、生物学分野で必要とされる基本的な実験・解析・分析技術を身に付けさせるとともに、主体的な学修に取り組み、研究の背景や展望を理解し推察する論理的思考力を育みます。また、問題点を自ら発見し、解決する総合的な学習経験を行い、問題解決力を育みます。また、一部の実験ではグループ学習を通してチームワークで物事を進める能力も育成します。その中で、自然現象を定量的に捉え、数理モデル化や定量的解析を行い、解析結果の可視化・ 説明を行える数量的スキルを養います。2年次後期から3年次後期には、学科専門教育科目において演習科目を配置し、生物学の専門的知識をもとに、英語で書かれた生物学領域の専門書や論文の輪講を行い、生物学の専門知識の理解度を高めるともに、読解力・文章表現力・プレゼンテーション能力を育成します[DP2-3, DP2-4]。
- 3年次後期には、研究グループに所属し、少人数体制で行う学科専門教育科目の演習及び実験を配置し、特定の生物学領域の専門的知識の理解を深め、主体的な学修に取り組み、研究の背景や展望を理解し推察する論理的思考力及び問題解決能力を身に付けさせるとともに、上級生と課題解決を実践し、チームワーク力及び創造的思考力を養います。さらに、実験では、専門領域に必要とされる解析法の数量的スキルを高めます。また、意欲の高い学生に対しては、「課題解決型教育科目」に実習科目を配置し、学生は自ら学修計画を立て、課題解決に向けた主体的な学びを実践し、教員が計画の修正や学生の自主的な学びに積極的に関わって指導しながら進めていく過程を通して学生に課題解決のプロセス及び問題解決力の育成を目指すとともに、社会的責任や倫理観を持って仕事を進める能力を育成します[DP2-3, DP2-4, DP3]。
- 4年次には、教員の指導のもとで課題解決型教育科目の「特別研究」を行います。3年次までの授業科目による学修内容を統合的に用いるとともに、生物学の専門的な領域の課題解決に主体的に取り組み、論理的思考力、問題解決力を育成します。この過程では、自らが行う研究内容や成果が社会に与える影響を意識しながら研究活動を行うことを通して、社会で倫理観や社会的責任を持ちながら行動する態度を身に付けさせるとともに問題点を自ら発見し、解決する総合的な学習経験を行い、創造的思考力を育成します。また、課題解決型教育科目の「文献講読」を通して、主体的な学修を深め、研究の背景や展望を理解し推察する力を養い、特別研究の成果をまとめる力を育成します[DP2-3, DP2-4, DP3]。
- 理学の複数の分野を学ぶ意欲がある学生には、理学部共通基礎科目及び生物学以外の専門分野の学科専門教育科目で養った他分野への関心を基盤に、3・4年次に分野横断型プログラムをさらに履修させることで、生物学領域の分野横断教育として他の専門分野の知識の一部を身に付けさせるともに、 広い視野で物事を眺める態度を育成します[DP1-1]。
2.教育方法
- 講義・演習・実験・実習等の授業により、講義視聴を中心として知識の定着を図り、演習・実践を通して知識活用法と技能を教授し、ディスカッション、グループワーク、プレゼンテーション等の実践により汎用的な技能を養います。
- 修得した知識・技能を自ら活用できる人材を育成するために、課題解決型教育科目を配置し、課題解決を実践する機会を提供します。
- 4年次の「特別研究」では、少人数学生を担当する指導教員が、実際の研究活動を通した総合的な学習指導を行います。
3.学修成果の評価
- 講義・演習科目については、授業内レポート、小テスト、期末試験(あるいは期末レポート)などに基づき、学修成果の到達度を公正かつ厳格に評価します。
- 実験科目については、プレゼンテーション、実験レポートなどに基づき、学修成果の到達度を公正かつ厳格に評価します。
- 実習科目については、自ら設定した目標に対する達成度とそこに至るまでの過程(計画性、主体性)、プレゼンテーションなどに基づき、学修成果の到達度を公正かつ厳格に評価します。
- 「特別研究」については、提出された卒業論文に加え、探求する態度、探求に必要な知識・技能を修得する能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などを総合的に判断し、学修成果の到達度を公正かつ厳格に評価します。
4.学生指導・学修支援
- 1年次から3年次までは、複数の教員によって学生と定期的に面談を行い、主体的な学びを実践できるように履修指導を行います。特に、単位取得状況や成績評価指標(GPA)をもとにディプロマ・ポリシーの達成が困難な学生を早期に把握し、学生の学修方法、学修過程のあり方を具体的に指導します。「特別研究」の実施に当たり、学生を少人数ごとに各研究室に配属させ、担当する指導教員による指導を行います
5.授業改善
- 授業科目ごとに学生による授業アンケートを実施し、 その結果に基づき授業方法の改善を行っていきます。さらに、教員相互の授業参観を行い、授業点検と改善に努めるとともに、定期的なファカルティ・デベロップメント活動を通して、教育課程の点検・改善を実施します。