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山下 波父さん

いつの日か自然保護に関わり、地球環境保全の一助に  3

いろいろな野生動物に出会えましたか?

それはもう沢山。
ゾウ、たくさんのシマウマ、インパラ。道沿いにいたオスのクロサイ。水に岩のようなものが浮いていて、それが全てカバだったり。カバは沈んでは浮いてを繰り返していて、とても穏やかに見えました(実際は結構凶暴)。100mほどの距離でキリン。ゾウは触れるほどの距離でした。サル、そしてライオンも見ました。
車で走っている時に、暑い日差しから逃れるように水場につかってていたハイエナが、なぜか車の前まで来て、私たちの車を案内するように走ったことも。
図鑑の中のハイエナは、いつも口元が血だらけで、身体も汚れているイメージですが、ぼんやりとした斑点は抽象的な美しさがあります。そして、意外にハイエナは大きいです。

例のミツバチのフェロモンに対するゾウの反応を見る実験の時、池の近くに設置された見張り台から眺めていた水場には、一頭のカバと小さなワニがいて、鳥が代わる代わるに寄ってきていました。そのうちゾウが来て・・・水場は広いですがゾウたちは固まって水を飲みます。カバはゾウが来ると大人しく水の中に潜って息継ぎ以外は出てきません。30分ほどゾウは仲間と遊んだり、水を飲んだりして、大量の糞と尿を残して去っていく。
この日は30頭弱のゾウを見ました。


触れる距離!

この保護区ではゾウの個体数が増えすぎて、木々の成長が追いつかずに生態系が崩れているそうです。木の成長には時間を要しますが、ゾウは木を枝ごと折りながら食べ、木を根こそぎ倒してしまうことも多いのです。ゾウは移動するので、本来は問題にならないものなのですが、自然保護区一帯は電気柵で囲われている為、ゾウの移動範囲は限定され、エリア内の木は減り続けることになります。
自然を管理したり、保護したりすることの難しさを感じました。

南アフリカの国立公園で過ごした1ヶ月は夢のような時間でした。毎日見渡す限りの低木林や草原と、野生動物が悠々と生きる姿…それはかつてテレビで見ながら思いを馳せた夢の場所でした。自然の大きさと美しさを体感できたこの鮮やかな日々は何年も何十年も経ったあとでも、色褪せないと思います。

最初に心配されていた英語のリスニングはいかがでした?

キャンプ終盤にはほとんど問題なくなっていました(笑)

 

南アフリカでの活動を終えて

私は幼い頃から野生動物を保護する仕事に就きたいと考えていました。南アフリカで自然保護ボランティアに従事したのは、世界のどこでどのような仕事をしたいかを考えるためでした。
自然保護区内のボランティア活動として、外来種駆除、対密猟者の巡回、密猟者の罠探し、域内の水量調査、水辺の動物の個体数調査などを行う中、南アフリカの13の部族それぞれが野生動物と独特な関係を持っていること、野生動物との関係をどのようにしていくかを考えるには地域の文化や歴史、様々な価値観を知る必要があるということに気づきました。
とすると、日本の野生動物とその問題を考えられるのは日本人だけということになるでしょう。日本にどのような野生動物が生息していているのか、保護の前提となる地域の状況は国外の人には簡単には分かりません。分かるには膨大な時間を要すでしょう。日本の野生動物の保護は、日本人自身が行なわなければならないということです。
南アフリカでの4週間は自然の中に身を置く夢のような空間で、学びと刺激に溢れた有意義な時間でした。このボランティア活動で体験した自然動物保護の方法は、いつか日本で保護活動をする時にきっと役に立つと思います。
時間をかけて参加したこの経験を、いつか日本で活かしたいと考えています。

 

1ヶ月のキャンプを終えブルキナファソ帰還、そして帰国

空港にマブドゥと彼の弟分がバイクで迎えに来てくれていました。まだ20度以上はあるのに、彼らは厚めのジャケットを着てフードを被り、寒がっている様子でした。
彼らは空港の入口付近で知り合いを見つけてはお決まりの長い挨拶をしていました。
独特な土の匂いが充満するブルキファナソ。住み慣れた場所に帰ってきたのだと実感しました。そして更に1か月半をここで過ごし、日本に帰って来たのです。

私がブルキナファソに来た目的の一つは「経済的貧困」について知ることでした。
ブルキナファソの生活の中、経済的な貧困は生活の中に不便さや不安定さを露出させることが多々あり、紛争地域であることで、友人や親戚たちの死が身近に存在しましました。
一方で、そこに生きるのは本当に素晴らしい人々です。人々は助け合い、工夫して生きていました。鶏肉などの少し高価なものが手に入れば親戚を呼び集めて分け合い、家にご飯がない子供たちと元々少なめのご飯を分け合い、限られた水や電気で生活する知恵を持ち、そして喜びを見つけて笑いあうエネルギッシュで素晴らしい人々でした。
ブルキナファソに来たこと、本当に良かったと思っています。何よりも人生の中にこの時間を設けたことに満足しています。

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