国立大学法人 山口大学

本学への寄付

高濃度トレハロースを用いた新規培養技術により創傷治癒を促す3次元培養“真皮シート”を開発
〜難治性皮膚潰瘍に有効な世界初の再生医療製品として期待〜

 

 山口大学大学研究推進機構・遺伝子実験施設の水上洋一教授、渡邉健司助教、愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学講座の武藤潤講師、藤澤康弘教授、佐山浩二名誉教授及び愛知学院大学歯学部生化学講座の福田信治講師らの研究グループは、線維芽細胞を高濃度トレハロースで処理することにより、 これまで報告されたことがない“創傷治癒促進作用を有するセネッセンス様状態(Senescence-like State; SLS)”へ一時的に誘導できることを発見しました。

 

今回の発見のポイント

  •  深達性の皮膚潰瘍において、真皮側を迅速に再生させる治療法は未だ存在しない。
  •  高濃度トレハロースを培地に加えて線維芽細胞を培養すると、線維芽細胞を一時的に“創傷治癒促進作用があるセネッセンス様状態(Senescence-like State; SLS)”に誘導できることを世界で初めて発見した。
  • ヒト由来の線維芽細胞及びコラーゲンとこの培養技術を用いて作成した再生医療用製品である“真皮シート”は、動物実験の結果から実臨床でも高い創傷治癒効果が期待される。

 

研究の詳細はこちら

図1 高濃度トレハロースによる線維芽細胞のSenescence-like State誘導作用を利用した真皮シートはマウスにおいて皮膚潰瘍の創傷治癒を促進する。

 

発表論文の概要

  • 掲載誌:Communications Biology
  • 論文タイトル:Highly concentrated trehalose induces prohealing senescence-like state infibroblasts via CDKN1A/p21
  • 著者:Jun Muto, Shinji Fukuda, Kenji Watanabe, Xiuju Dai, Teruko Tsuda, Takeshi Kiyoi, Kenji Kameda, Ryosuke Kawakami, Hideki Mori, Ken Shiraishi,Masamoto Murakami, Takeshi Imamura, Shigeki Higashiyama, Yasuhiro Fujisawa, Yoichi Mizukami, Koji Sayama
  • DOI:10.1038/s42003-022-04408-3

 

謝辞

 本研究は、科学研究費助成事業及び学術変革領域研究(先端バイオイメージング支援プラットフォーム:ABiS)、日本医療研究開発機構(AMED)などの支援により施行されました。

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