国立大学法人 山口大学

本学への寄付

水中を漂っているナノシートの形状を世界で初めて捉えた!
~光学顕微鏡を用いたナノシートの直接観察~

 

 山口大学大学院創成科学研究科理学系学域化学分野の川俣純教授と鈴木康孝准教授のグループと九州工業大学大学院工学研究院物質工学研究系の中戸晃之教授のグループ、および東京農工大学大学院工学研究院先端電気電子部門(生物システム応用科学府)の岩井俊昭教授のグループは、光ピンセットの技術を用いることで、水中に分散しているニオブ酸ナノシートの形を光学顕微鏡によって評価することに世界で初めて成功しました。
 ナノシートの形状は、フラットなシート状だけでなく、折れ曲がった構造をしているものも多数あることがわかりました。現在、ナノシートをレゴブロックのように組み立てて新しい材料を作る研究が世界中で行われていますが、肝心のナノシートの正しい形状を液体の中で顕微鏡で直接観察した例は、これまでありませんでした。 
 本研究の成果により、今後は、ナノシートが変形していることを前提としたブロックの組み立てを行わなくてはならないことが明らかとなりました。ナノシートは、医療から電池に至る広い分野の新素材への応用が期待されており、これら多方面の研究に波及する発見です。

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発表のポイント

  • 光ピンセットと光学顕微鏡の技術を併用して、水中に分散したナノシートの正確な形を把握した。
  • 平らな形状のナノシートは少なく、多くのナノシートがこれまで想定されていなかった曲がった形状であったことを確認した。
  • ナノシートの“作りたて”の姿をはじめて捉えた成果であり、ナノシートから新しい材料を作る多くの研究に影響を与える。 

 

論文

この成果は、以下の論文として発表されています。  

T. Nakato, Y. Higashi, W. Ishitobi, T. Nagashita, M. Tominaga, Y. Suzuki, T. Iwai, J. Kawamata, “Microscope Observation of Morphology of Colloidally Dispersed Niobate Nanosheets Combined with Optical Trapping”, Langmuir, DOI: 10.1021/acs.langmuir.9b00356, American Chemical Society (米国化学会) 2019年4月3日 IF = 3.789

 

謝辞

本研究は、日本学術振興会、科学研究費補助金、15J07557、15H03878、15K13676、17H05466、19H04677の補助により行われました。

 


【研究のイメージ図】
光ピンセット技術でナノシートを掴んでいる様子

 

【キナノシートが変形していることを前提としたナノシートからなる構造の組み上げのイメージ図】
 色々な形のブロックの組み合わせで、任意の形を組み上げることが出来る様子

 

様々な形のナノシートを光ピンセット技術を用いて回して観察した光学顕微鏡像

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