国立大学法人 山口大学

本学への寄付

著作権について学ぼう!国際総合科学部学生が小学生向け動画教材を制作しました!

『友だちがかいたマンガ、すごくおもしろい!…それを見て、どうしたくなった?』
インターネットやSNSの普及により私たちにも身近になった「著作権」。難しいイメージだからこそ、正しい知識を身近なテーマでよりわかりやすく。
著作権について小学生が学ぶための動画を制作した国際総合科学部の学生PBLチームを取材しました。

インタビュー対象:
国際総合学部4年 和田啓佑さん、吉村咲紀さん、清水このみさん、玉井千鈴さん、中川巴那さん、河崎亜文さん

 

どうして小学生向けの著作権教材を作ろうと思ったのですか?

 国際総合科学部のカリキュラムにPBL(※1)というものがあります。私たちは株式会社サーティファイさんをパートナー企業とするPBLチームです。サーティファイさんの活動の中で、「知的財産のすそ野を広げる」をテーマとした著作権に関する教育・普及活動があり、その一環として小学生向けの動画教材を作ってもらえないか、という依頼を受けたのがきっかけです。

 

みなさんはどうしてこのPBLチームに?著作権をテーマとするPBLって難しそうに感じますが。。。

 国際総合科学部は、毎年全員が知的財産に関する授業を履修するカリキュラムとなっていて、他の学部よりも知的財産教育が活発です。その中で、知的財産という分野への関心が高まったことと、小川明子先生の指導を受けたい!(笑)という思いもあってこのPBLを選びました。

 

完成までどのようなスケジュールでしたか?

 著作権教育Eネットワーク(※2)さんが教材として作成されていたスライドを原案に、4月中旬から5月にかけてシナリオを作成し、7月から動画制作に着手しました。途中、仮動画を作成し、Eネットワークさんの会議で見ていただきました。内容についてはさまざまな指摘をいただきましたが、何よりもご担当の方が動画を制作したことをとても喜んでくださった点が印象的でした。その後、8月から9月に録音・編集を行い、10月に完成版を納品しました。
 今回の動画制作はあくまでPBLのプロジェクトの1つだったので、他の活動と並行しながらの業務の調整にも苦労しました。

 

声の出演もみなさん自身でしたね。一番上手だったのはどなたですか?

 吉村さんです!最もセリフの多い先生役を担当してもらいました。音声の収録は国際総合科学部のスタジオで行いました。本格的な設備が整った環境での収録は初めての経験でしたが、担当の先生に機材の使い方を教えていただき、スムーズに進みました。

 

制作の過程で、特に工夫した点や苦労した点は何ですか?

 「どうすれば小学生にとってわかりやすくなるか」を特に考慮しました。視覚的にはスライドの文字サイズを大きくしたり、漢字にルビをふったり、イラストをたくさん使用して明るい雰囲気になるように、などです。
 また、もともと原案としてお預かりしたスライド資料には、実は「著作権」という言葉は使われていませんでしたが、私たちはあえて使うようにしました。小学校3、4年生であればもう理解できるだろうし、将来のために「著作権」という言葉をしっかり覚えてほしいと思ったからです。

 

「小学生向けだから難しい」と思える言葉でも、重要だからあえて使用したということですね。

 そうです。実際に作り始めたことでおかしいと思える表現に気がついた点の一つです。他にも、もともとは90分の動画制作を想定されていたのですが、小学生には長すぎると考え、8分にまとめました。内容を厳選して、さらにアニメ風に仕上げることで、小学生にも集中して見てもらえるのではないかと考えました。
 また、私たちは今回のPBLを「学生側視点」と「教育者側視点」の両面からアプローチしました。並行して活動していた裁判結果の判例を紹介し考察する「判例評釈セミナー」では私たちも発表する側の経験を重ねました。説明する側の立場を経験したことで、学校の先生が児童とのコミュニケーションに活用しやすい教材となるよう、動画の内容にも反映できたと思います。

 

たくさんの工夫のもとでようやく完成した動画ですね。完成後の反響はいかがでしたか?

  実際の小学校への展開はEネットワークさんにおまかせしているので、直接の反響はわかりませんが、WEB上で公開された教材は2000回以上閲覧されたと伺いました。また、日本行政書士会連合会さんには出前授業で活用いただいたり、その他にも教職課程の授業での活用を検討いただいている大学もあると聞きました。
 今回は現場のニーズや小学生の話を直接聞きにいくことはできませんでしたが、実際に見てくださったり、使ってくださったとのお話を聞いたときはうれしかったです。

 

最後に、もうすぐ卒業を迎えるみなさん。4年間の学生生活を振り返って、一言ずつお願いします!

(吉村)高校生までは広く浅く学ぶ印象ですが、大学では深く、しかも先生方が楽しそうに研究しているので自分も楽しく学ぶことができました。面白い先生とも出会えたし、友人など周囲の人にも恵まれたと思います。

(清水)山口大学では自分で興味のあることを見つけて、自ら選んで学ぶことができました。私の場合は「中国語」で、特に面白いのは日本語と似ているのに、その中でも異なる点があること。就職先も中国に支店がある会社を選びました!

(玉井)大学では気の合う人同士で集まったり、似たような人が集まったりしがちな中で、国際総合科学部は自由な人が多いです(笑)。授業の幅も広いので、それだけいろいろな考えを知ることができたし、自分の意見を言うことができる環境だったのが私にとってはとてもよかったです。

(中川)私は岩国市出身ですが、山口大学に来たことで観光スポットなど山口の魅力を知ることができ、山口のことが好きになりました。他学部の学生との交流、キャンパス環境、研究室もきれいでよかったです。

(河崎)正解のない課題に取り組むことができたことは、これから社会に出ていく上で貴重な経験になったと思います。先生・友人だけでなく大学外でもいろいろな人と出会うことができたことも印象に残っています。

(和田)国際総合科学部を選んでよかったです。専門性を見つけたいというよりも、興味をもったことに挑戦できるという環境が自分にはとても合っていました。また、挑戦してみて初めて楽しいと気づくこともありました。その中で、自分が学びたいことを学ぶことができた4年間でした。

 

和田さんたち6人が制作した著作権教材動画はこちら
一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会WEBサイト
https://www2.accsjp.or.jp/activities/2022/news124.php

 

※1 PBL:プロジェクト型課題解決研究。国際総合科学部生が3年次後半から4年次にかけて履修し、大学と地域社会で学生を「共育」するという理念のもと、連携する自治体や企業等から提案された実社会に存在する様々な課題にグループで取り組み、解決方法を探求・提案する。

※2 著作権教育Eネットワーク:日本行政書士会連合会、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会と山口大学が連携し、2019年から共同で著作権教育の普及啓発を行う取り組み。

 

取材・執筆:山口大学総務企画部総務課広報室(取材日:2023年2月14日)

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