国立大学法人 山口大学

本学への寄付

下水調査による流行状況監視システムの構築を目指す実証事業で成果を確認
継続的なモニタリングにより、新型コロナウイルスの感染流行予測・予防等に向けた情報ツールとしての活用を目指す

 

 山口大学大学院創成科学研究科・環境DNA研究センター、山口県宇部市、日本工営株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:新屋 浩明、以下 日本工営)の共同体グループは、内閣官房「ポストコロナ時代の実現に向けた主要技術の実証・導入に向けた調査研究業務」の一環として株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:籔田 健二)が実施する「ウィズコロナ時代の実現に向けた主要技術の実証・導入に係る事業企画 下水サーベイランスの活用に関する実証事業」に取り組んできました。このほど一定の成果が確認できたため、事業終了後も山口大学、宇部市、日本工営で継続して下水サーベイランスに取り組み、地域での活用を目指します。
 下水中には感染者に由来する新型コロナウイルスが存在しています。下水中のウイルスを調査する「下水サーベイランス」は、地域の流行状況や施設内における感染者の有無を把握することができ、効果的な感染防止対策を講じるための監視システムとなることが期待されています。一方で、感染症対策への活用には、下水中のウイルス濃度が人為活動(水の使用状況など)に影響を受け日内変動する、また、濃度が低い場合、検出・定量が困難である、などの課題があります。山口大学の赤松良久教授の研究グループと宇部市、日本工営は、2022年9月~11月の実証事業およびその後現在まで独自に実施した調査を通じて、従来と比べ高感度かつ迅速に下水から新型コロナウイルスを検出できる積算的手法により、感染者数の少ない地方都市でも下水サーベイランスが活用できることを確認しました。
 今後も、宇部市内の下水中の新型コロナウイルスの定期モニタリングに継続して取り組むとともに、モニタリング結果を山口大学環境DNA研究センターホームページ※1上で発信し、各種データを第三者に広く提供することで、感染流行の警報発信や予測・予防活動に向けた情報ツールの開発等に活用されることを期待します。

 

ポイント

  • 下水サーベイランス実証事業で宇部市における新型コロナウイルスの流行状況の推定を試み、流行状況と一致した傾向を捉えることができました。
  •  山口大学、宇部市、日本工営で下水サーベイランスの取り組みを継続していくとともに、速報を山口大学環境DNA研究センターより発信していきます。

注)2022年9~11月の結果は「ウィズコロナ時代の実現に向けた主要技術の実証・導入に係る事業企画 下水サーベイランスの活用に関する実証事業」(2023年1月,三菱総研)の成果、2022年12~2023年3月の結果は宇部市及び山口大学とで独自に調査した成果である。

実証事業の結果および継続・定期モニタリング結果の報告

 

※1山口大学環境DNA研究センターホームページ

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