国立大学法人 山口大学

本学への寄付

『カレー』で『華麗』なるシラン架橋反応触媒の開発~生薬ウコン由来ポリフェノールの金属キレート化合物~

 

 山口大学大学院創成科学研究科(理学系)化学分野の安達健太准教授と同大学大学院博士後期課程学生の田中祥平さんらの研究グループは、カレーの香辛料として定番のターメリック(生薬ウコン)に含まれている黄色のポリフェノール色素であるクルクミノイドと金属イオンからなるキレート化合物が、常温硬化性樹脂であるポリアルコキシシランの架橋反応における触媒として有効に作用することを発見しました。
 ポリアルコキシシランの架橋反応触媒として汎用されている有機スズ化合物と比較して、クルクミノイド・金属キレート化合物は、環境負荷が格段に小さく、かつ良好な触媒性能を示すため、有機スズ化合物に代わる新しい触媒化合物として期待できます。

 
 この研究成果は、2022年3月31日(現地時間)にSpringer社が発行する国際ゾル・ゲル学会の学術雑誌「Journal of Sol-Gel Science and Technology」に掲載されました。

研究の詳細はこちら

 

図1 ポリアルコキシシランの架橋反応の模式図と使用用途

 

研究のポイント

  • ターメリック(ウコン:Curcuma longa)に含まれるポリフェノール色素であるクルクミノイドの金属キレート化合物が、ポリアルコキシシラン硬化樹脂の架橋反応触媒として有効に作用すると世界で初めて発見
  • 既存の有機スズ化合物触媒に比べて、クルクミノイド・金属キレート化合物は、遜色ない良好な架橋反応触媒性能を示す
  • 環境負荷が小さいクルクミノイド・金属キレート化合物は、有機スズ化合物の代替触媒として期待

論文情報

  • 論 文 名 : Enhancing Catalytic Activity of Copper(II) Complexes by Curcuminoid as Electron-Withdrawing Ligand for Silane Water-Crosslinking Reaction: A Joint Experimental and Theoretical Study
    「クルクミノイドを電子吸引性配位子として用いた銅(II)キレート錯体のシラン水架橋反応に対する触媒活性の向上:実験と理論研究」
  • 著 者 名:Shohei Tanaka, Mina Imamura, Kenta Adachi*(田中祥平・今村美那・安達健太)
  • 雑 誌 名:Journal of Sol-Gel Science and Technology
  • 公 表 日:2022年3月31日(web-published)
  • U R L:http://dx.doi.org/10.1007/s10971-022-05773-5

謝辞

 本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(C)(課題番号:19K05525)、JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)(課題番号:JPMJTM20GC)及び、山口大学理学部研究支援事業ステップアップ研究(2020年度)の助成を受けて実施しました。

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