山口大学教育学部 教育学部
教育学研究科

本学部への寄付

先生になりたい人へ(一般的なお話)

先生になりたい人へ(一般的なお話)

はじめに

 学校には、多くの「先生」がいらっしゃいます。校長先生・副校長先生や教頭先生、学級担任の先生、国語や社会科などの教科を教えてくださる先生、保健室の先生(養護教諭)など、多くの先生方が学校を支えてくださっています。平成17年度(2005年度)からは「栄養教諭」という制度ができ、給食等を通じて食育のことを教えてくださる先生がいらっしゃる学校もあります。

 さて、皆さんは「どんな学校の先生」になりたいですか?「どんな」には「働きたい学校」、「教えたい教科」や「学校での役割」の意味も含んでいます。勉強をわかりやすく教えることのできる小学校の先生になりたいとか、教科の専門的な内容について子どもたちの興味をかきたてるような授業ができる中学校・高等学校の先生になりたい、子どもたちがなんでも話してくれる保健室の先生など、自分の理想とする先生の姿:教師像があると思います。そのような学校の先生になるにはどのような進路を選択したら良いでしょうか?

 本来であれば皆さんの理想や大学で育てたい教師像について、ちゃぶ台を囲んでお話ししながら考えていきたいところですが、この高校生・受験生向けの特設ページでは、まずは学校の先生になるための進路について基本的なこと・大学の教育学部のことを中心に説明したいと思います。(理想の教師像については、皆さんが大学に入学されてから、たくさんお話ししましょう。なお、山口大学教育学部では先生に必要な力として「使命感や責任感、教育的愛情」「社会性や対人関係能力」「幼児・児童・生徒理解」「教科等の指導」の4項目に整理しています。)

 実際に学校の先生になるために高校生・受験生の皆さんにとって最も考えやすく身近な進路は、(1)教職課程を持つ大学で教員免許状を取得し、(2)先生の採用試験を受験して合格することです。そして、(3)勤務する学校が決まれば、学校の先生になることができます。もちろん(1)~(3)のいずれの段階においても、そして先生になってからも、自分の目指す教師像を磨き続け、それに向けて努力することが大切です。

 この文書は一般的なお話ですが、山口大学教育学部のことについては「山口大学教育学部の特色」のページを参照してください。

1 「先生になりたい」という進路を考えるにあたって

それでは、具体的な説明に入る前に、学校の種類や先生の職、そして教員免許状について説明します。

(1) 学校の種類:

学校教育法」の第一条では次ものを学校として掲げています。

  • 幼稚園
  • 小学校
  • 中学校
  • 義務教育学校
  • 高等学校
  • 中等教育学校
  • 特別支援学校
  • 大学
  • 高等専門学校

いわゆる「一条校」とは、第一条で掲げられているこれらの学校を指します(これら以外には、第百二十四条で掲げられている「専修学校」があります)。そして、幼稚園や大学も学校に分類され、短期大学や大学院は大学に含まれます。ここで、あまりなじみのない「義務教育学校」とは9年間の義務教育課程を通して行う学校のことで、前期課程と後期課程からなります。前期課程として小学校、後期課程として中学校を対応させて考え、小中学校が一緒になったような学校と考えるとわかりやすいでしょう。なお令和4年度の時点で、山口県内に義務教育学校はありません。また、学校を設けた者:設置者によって、国立・公立・私立などに分類することができます。

(2)幼稚園、小学校・中学校・特別支援学校、高等学校の先生の職

 学校の先生には、校長・園長・教頭・教諭などの「職」があります(「職階」とか「職位」ということもあります)。 「学校教育法」では、学校の種類によって基本的に次の職員を置くことになっています。

  • 幼稚園:園長・教頭・教諭
  • 小学校・中学校・特別支援学校:校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員
  • 高等学校:校長・教頭・教諭・事務職員

その他にも、学校の種類によって異なりますが、副園長・副校長・主幹教諭・指導教諭・養護教諭・栄養教諭、助教諭・養護助教諭などをおくことができます。

(3)教員免許状の種類と先生になるために必要となる免許状

 学校の先生は、原則として勤務する学校の種類や教える教科、教諭、養護教諭、栄養教諭などの職に応じて「教育職員免許法」で定められている教育職員免許状を持っている必要があります。これを「相当免許状主義」といいます。また「教育職員免許状」を「教員免許状」と略すことがあります。意外に思われるかもしれませんが、大学・高等専門学校の先生には教員免許状は必要ありません。

① 教員免許状の種類
 まず、教員免許状は学校の種類:幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校によって次の3種類があり、各都道府県の教育委員会が授与します(大学から授与されるのではありません)。

  • 普通免許状(全国で通用する)
  • 特別免許状(有効期間:10年、授与された都道府県のみで通用する;幼稚園にはありません)
  • 臨時免許状(有効期間:3年、授与された都道府県のみで通用する)

② 教員免許状の区分
 また、幼稚園・小学校・中学校・特別支援学校の普通免許状は次の3つに区分されます。

  • 専修免許状(大学院修了相当)
  • 一種免許状(大学卒業相当)
  • 二種免許状(短期大学卒業相当)

 高等学校の普通免許状は専修免許状と一種免許状のみに区分され、二種免許状はありません。

③ 教員免許状における学校の種類と教科
これらの免許状のうち中学校と高等学校の普通免許状は各教科(国語、数学、理科など)について取得します。それに対して、小学校の普通免許状は教科に分かれていません。
特別支援学校教諭の普通免許状は、5つの領域:視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者,病弱者(身体虚弱者を含む。)について取得します。
以上、小学校・中学校・高等学校の教員免許状についてまとめると表1のようになります。


表1.小学校・中学校・高等学校における教員免許状の種類・区分と教科、有効期間・通用する範囲。

免許状の種類・区分
【有効期間・通用する範囲】
学校の種類・教科
小学校 中学校 高等学校
教諭 普通免許状
【ー・全国】
専修免許状
(大学院修了相当)
(教科に分かれていない) 国語,社会,
数学,理科,
音楽,美術,
保健体育,保健,
技術,家庭,
職業,
職業指導,職業実習,
外国語※1,宗教
国語,
地理歴史,公民,
数学,理科,
音楽,
美術,工芸,書道,
保健体育,保健,
職業指導,
外国語※1,宗教,
その他※2
一種免許状
(大学卒業相当)
二種免許状
(短期大学卒業相当)
(なし)
特別免許状
【10年・授与された都道府県】
(教科に分かれている※3) (普通免許状の教科と文部科学省令で定めるもの)
助教諭 臨時免許状
【3年・授与された都道府県】
(教科にわかれていない)

※1:英語,ドイツ語,フランス語その他の各外国語に分かれます。
※2:看護,看護実習,家庭,家庭実習,情報,情報実習,農業,農業実習,工業,工業実習,商業,商業実習,水産,水産実習,福祉,福祉実習,商船,商船実習
※3:国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語※1
注意:表及び※1,※2の中の太字は山口大学教育学部で取得できる中学校又は高等学校の普通免許状の教科を示します。 一人で太字のすべての免許状を取得できるわけではありません。

2 先生になるための進路

 これまで述べてきた内容を予備知識として、「はじめに」で述べた学校の先生になるための進路(1)、(2)、(3)についてそれぞれ具体的に説明します。

(1)教職課程を持つ大学の学部学科等に入学して教員免許状を取得する

① 教員免許状と教職課程
 大学で教員免許状を取得するためには、どのような授業をどれくらい勉強する必要があるか、「教育職員免許法」「教育職員免許法施行規則」により決められています。本来はこれらの法律や規則を読んで理解した上で、教職課程を持っている大学の学部学科等で必要な授業を受ける必要があります。実際には、文部科学省は教員免許状の取得に必要な授業等の組み合わせ・授業の受け方・教育実習を大学の学部学科ごとに「教職課程」として認めていますので、その教職課程に従って授業を受けていけば教員免許状が取得できるようになっています。大学に入学すると、教職課程や教員免許状を取得するための説明会(教職オリエンテーション)がありますので、必ず出席してよく聞いておきましょう。また「取得できる」というのは、教員免許状を授与するのは各都道府県の教育委員会ですので、大学の卒業や教職課程を修得したことを示す書類を添えて教育委員会に申請することではじめて授与されるからです。ですから「教職課程」で決められている授業をすべて受け、教育実習を行ったとしても、教育委員会に申請しなければ教員免許状は授与されません。多くの大学では「一括申請」といって、大学のある都道府県の教育委員会に学生の教員免許状の申請をまとめて行いますので、学生の皆さんが手続きについて心配する必要はありません。卒業式の日に卒業証書と一緒に教員免許状も受取ることができます。(「個別申請」といって、自分で必要な書類を添えて教育委員会に申請することもできます。)

② 教員免許状を取得できる大学の学部学科
 教員免許状を取得できる大学の学部学科というと、各都道府県にある国立大学の「教育学部」(教員養成学部)が頭に浮かぶ人が多いと思います。ここで注意が必要ですが、大学の「教育学部」には2種類あります。いずれも「教育学部」を名乗っていますが、学校の先生を育てる「教員養成学部」と、広く教育について考える「教育学部」です(もちろん例外もあります)。ここでの説明では「教育学部」は「教員養成学部」の方を指すことにします。(「山口大学教育学部の特色」にも書いたように、山口大学教育学部は「教員養成学部」です。)
 その他にも山口大学であれば人文学部の人文学科で国語や社会、理学部の数理科学科で数学、物理・情報科学科や生物学科、化学科で理科の中学校や高等学校の教員免許状を取得できることを知っている人も多いでしょう。日本では「大学における教員養成」と「開放制の教員養成」の原則により先生を育てているからです。そのため山口大学に限らず、教育学部以外のその他の学部学科でも、その学部学科の専門に対応した中学校・高等学校の教科の免許状を取得できる「教職課程」を持っていることが多いです。進学先の候補としている大学の学部学科で、希望する教員免許状が取得できるかどうか十分確認しておくことが大切です。「高等学校の教員免許状は取得できるけれど、同じ教科の中学校の教員免許状は取得できない」とか、「昔は教員免許状が取得できていたけれど、最近では取得できなくなった」ということもありえます。大学のオープンキャンパスや入試説明会等の機会を利用して、取得したい教員免許状の学校の種類・教科・普通免許状の一種・二種までよく確認しておきましょう。高校の先輩や、大学の卒業生に聞いただけの情報では間違っているかもしれません。なお、文部科学省のウェブサイトに教員免許状を取得できる大学の一覧がありますので紹介しておきます。(文部科学省:教員免許状を取得可能な大学等

③ 教育学部と他の学部学科との違い
 教育学部でも人文学部や理学部の各学科でも「教職課程」で教員免許状が取得できるとなると、教育学部とその他の学部学科で学ぶ違いは何でしょうか?大学の各学部では「教育理念」「目標」と「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマポリシー)というものを定めており、これを理解すれば学びの違いがわかります。例えば、山口大学の各学部の「教育理念」「目標」ディプロマポリシーを紹介しておきます。非常におおざっぱに言うと、教育学部では教育を専門に学び、学校の先生を養成することが目標です。そのため、大学を卒業するまでに学ばなければならない授業の中に、教員免許状の取得に必要となる教職課程の授業が含まれています。一方、他の学部学科では、それぞれの専門分野を深く学ぶことが目標であり、学校の先生を希望する人はその専門分野の授業に加えて教職課程の授業を受けることで教員免許状を取得できるようになっています(図1)。このように、教育学部が教員養成を目標としているのに対して、その他の学部は、それぞれの目標を持っています。進学する大学の学部学科を選ぶにあたり、自分が大学で何を学び、どのような人間になりたいのか、進学しようとする学部学科の理念や目標に共感できるか、学んだことをどのように将来の職業に生かしていきたいか、よく考えることが大切です。

図1.教育学部と他の学部学科との学びの違い(図の拡大

 表1に示したように、教員免許状の普通免許状は、専修免許状・一種免許状・二種免許状に区分されています。一種免許状を取得するには大学に進学、二種免許状だけを取得するには短期大学への進学が候補となります。また大学の学部学科によっては、特に教育学部では、一種免許状と二種免許状を同時に取得できるところもあります。例えば、「中学校一種免許状・国語」に加えて「小学校二種免許状」を取得できる学部学科や、「小学校一種免許状」と「中学校二種免許状・国語」の両方を取得することを義務付けている学部学科など、その学部学科が育てようとする教員像によって様々です。

④ 教職大学院とは
 高校生・受験生の皆さんには大学卒業後の将来のこととなりますが、「教職大学院」について簡単に紹介します。高校生・受験生の皆さんも気になっていると思いますが、最近の学校には様々な課題(取り組みたいこと)があり、グローバル化やICT・GIGAスクール、特別支援教育、いじめ、不登校など山積しています。学校の先生方は高度専門職業人としてこれらの課題に取り組むことが期待されています。このため専門職大学院として「教職大学院」の制度が作られました。一般的には、大学卒業後すぐに教職大学院に入学するか、あるいは、先生としてしばらく学校に勤務した後に(学校の先生のまま)教職大学院に入学し、2年間をかけて学びます。教職大学院を修了すると、普通免許状の「専修免許状」を取得することが出来ます。国立大学法人と一部の私立大学に教職大学院が設置されています(教職大学院の一覧)。山口大学では「大学院教育学研究科教職実践高度化専攻」がその教職大学院にあたります。是非とも教職大学院への進学も視野に入れて進路を選んでください。


(2)教員採用候補者選考試験(教員採用試験)

 大学4年生になると教員採用候補者選考試験(教員採用試験)を受験しますが、希望する都道府県(市)・学校の種類・教科によって試験の内容・方法は異なります。主に公立学校の先生を選ぶ試験について説明しますが、いずれにしても採用する側が求める教師像と皆さんの理想とする(なりつつある)教師像に重なりがあることが大切です。

① 公立学校における教員採用試験とは
 公立学校の場合、各都道府県の教育員会や政令指定都市(例えば北九州市や神戸市)の教育委員会が毎年夏(7月~8月ごろ)に教員を募集し試験を行います。試験日が異なっていれば複数の試験を受験することができます。試験は第1次と第2次に分かれていることが多く、第1次試験で合格した人が第2次試験に進み、最終的な合格者(採用候補者名簿の登載予定者)が決まります。第1次試験の内容としては、例えば筆記(教職専門・教科専門)や面接・集団討論、実技等、第2次試験として面接・集団討論・小論文・実技などがあります。教育委員会によって異なりますので、採用試験の実施要項等を見て自分で確認することが大切です。例えば「山口県公立学校教員採用候補者選考試験」のウェブサイトが参考になります。

② 教員採用選考試験における特別選考の例
 教育委員会によっては、次のような様々な特別選考を設けていることがあります。

  • 大学推薦:一部の試験を免除
  • 教職大学院修了見込み者:一部の試験を免除
  • 大学院・教職大学院に進学又は在学中の者:大学院在学中の採用が延期され、大学院修了直後に採用候補者名簿に登録される。(注:これは「大学院・教職大学院でしっかり学んでから先生になってくださいね」という意味です。)

③ 幼稚園の先生、私立学校の先生
 公立の幼稚園の場合は、市区町村が幼稚園教諭を公務員として採用する場合が多く、それぞれの自治体のホームページなどを確認しておくことが大切です。
私立学校の場合は、法人・学校ごとに教員を採用します。

④ 附属の先生
 国立大学法人には附属学校があり、いわゆる「附属の先生」になりたい人は大学の先生に相談してみるとよいでしょう。附属学校では、大学で独自に先生を採用するところと、公立学校の先生が「人事交流」といって、附属学校に異動してくるところがあります。おそらく大学の先生は「まずは公立学校の先生になってから、経験を積んでから考えたらいいよ」とアドバイスされると思います。


(3)勤務する学校はどうやって決まる?学校に勤務してからは?

① 配属校
 公立学校の場合、教員採用試験の合格者は「採用候補者名簿」に登載されます。この名簿の中から、それぞれの市町村など地域の学校に配属されていきます。どこの学校に決まったとしても、その学校も子どもたちも地域の宝です。学校が盛り上がるよう、子どもたちが成長するよう、力を尽くしていきましょう。

② 配属校と教員免許状
 最近では、義務教育学校や中等教育学校、小中一貫教育を行う学校など、複数の校種(隣接校種)が合わさったような学校もあります。このような学校に勤務するには、両校種の教員免許状を取得していることが必要、または望まれます。(「教員免許制度の概要」の2ページめを参照してください。)
 また、特別支援学校には幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、特別支援学校の教員免許状の他に勤務する幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員免許状も必要となります。

③ 先生の仕事とは
 実際に学校で勤務が始まると、さっそく担任する学級が決まったり、全校の仕事:生徒指導、体育部、情報・・・などの分担が決まります。それぞれの学校には「学校経営方針」があり、先生一人一人がこの方針を理解し考え、保護者・地域の方々とも協力しながら、そのような学校となるよう日々努力します。例えば「山口大学教育学部附属山口小学校の学校経営構想」を紹介します。高校生・受験生の皆さんの学校・出身学校にも「学校経営方針」があるはずですので、確認してみてください。
 毎年、先生方は校長先生・教頭先生と面談を行い、自分の課題や頑張りたいことなどを話し合って、先生自身の授業づくりや学級経営などの力がつくように、また学校が盛り上がるように1年間の目標を立てます。これを「自己目標シート」に書き込み、助言を受けながら目標が達成できるよう、そして長期的には理想とする教師像に近づくことが出来るよう努力します。また、個人としても、例えば、授業がもっと上手になるように毎時間の授業の計画を立てたり、授業を見直すとか、授業づくりに関する様々な研修や研究会に参加し自己研鑽に努めます。そして学校の先生の集団としても「研究授業」といって、お互いの授業を参観しあって意見を交わしたり、子どもたちの学習や生活について他の先生と指導方法を話し合ったりします。

④ 教職のキャリア
 最初の学校にある程度の期間(2~4年ぐらい)勤務して経験を積むと、次の学校に異動となります。これを繰り返していきながら理想とする教師に近づいていくことでしょう。先生によっては指導教諭・主幹教諭、さらには教頭や校長といった管理職へとキャリアを積んでいきます。その途中で、教職大学院に入学してさらに勉強したり、学校以外の場所である教育委員会や教育支援センター・研究所、大学の先生などに異動となることもあります。

3 もっと知りたい・考えたい人のために

 自分の目指す「教師像」について、まだ考えていなかったという人は、次の資料を読んで考えてみましょう。これら以外にも、インターネットで検索すると様々な立場・視点から「理想の教師像」が語られています。

 学校や教育に関する最近の話題について、どこで話し合われるのでしょうか?もちろん、大学の教育学部・教職大学院や関係する学会(研究者の集まり)で話し合われます。それらに加えて、文部科学省には「中央教育審議会」という組織があります。よく新聞やテレビなどで「中教審」と略してその話し合いの内容が紹介されるので、名前を聞いたことのある人も多いでしょう。中教審は、文部科学省から意見を求められた課題(諮問)に対して、その課題に合った分野の専門家が、どのように取り組んだらよいか話し合って意見を述べる働き(答申)をします。したがって、学校や教育における課題と今後の取り組みについては、中教審で話し合われることが多いです。
 先に「理想の教師像」について3つの論文を紹介しましたが、教員に求められる資質能力については中教審でも話し合われています。

  • これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について ~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ (答申)(中教審第184号

また、学校の種類のところで紹介した「義務教育学校」や「中等教育学校」のことや、最近特に話題となっている小学校での教科担任制、GIGAスクール、ICT活用についても、中教審の各分科会でも話し合われています。これらの課題についてどのように話し合われたか知りたい場合、例えば次の中教審の各分科会の資料を読んでみると良いでしょう。

  • 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(中教審第228号)
  • 子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)(中教審第178号
  • 今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申)(第22回答申(昭和46年6月11日)), 第2章第2

 大学での学修量をはかる単位として「単位」があり、「1単位」は45時間の学修を必要とする内容の量を表します。これには、授業での学修に加えて予習・復習も含まれます。この単位は様々なところ、特に「 教育職員免許法」や「 教育職員免許法施行規則」に、しばしば「単位を修得したもの」「最低修得単位数」や「教育実習の単位」のように出てきます。「単位」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、なぜ1単位を45時間と決めているのか、具体的に「1単位」がどれくらいの学修量となるか実感できる人は少ないと思います。したがって、このページではあえて「単位」ではなく「授業」という言葉を使って説明するようにしました。「単位」のことを知りたい人は次の省令や論文を読まれることをお勧めします。


(令和3年2月1日作成; 令和5年7月19日修正)

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