山口大学 中高温微生物研究センター

「特別セミナー」開催のお知らせ

主催:山口大学中高温微生物研究センター
共催:山口大学共同獣医学部
   山口大学 One Welfare 国際研究センター

日時:令和7年5月16日(金) 16:00~17:00
場所:農学部・共同獣医学部 大講義室(獣医学研究棟4階)/オンライン
参加費:無料
申込:不要

ポスター

「新興人獣共通感染症細菌Escherichia albertiiの環境内での動態について」

日根野谷 淳 先生
(大阪公立大学大学院 獣医学研究科 獣医国際防疫学教室 准教授)

 演者の研究グループでは、腸管感染症細菌による食中毒の全容理解と制御を目指し、分子疫学研究による実態把握のほか、分離株の性状解析を通じて病原性や薬剤耐性メカニズムの理解に取り組んでいる。
 Escherichia albertiiは、2003年に新たに登録された新興食中毒細菌である。散発的な事例に加え、わが国では少なくとも11件の集団食中毒が報告されている。また、斃死した野鳥から分離された大腸菌が、後の再解析により本菌として再同定された例もあることから、本菌は人獣共通感染症細菌と考えられている。一方で、本菌による感染症の発生状況や感染経路、環境内動態など、基本的な情報がほとんど明らかになっておらず、最近まで、それらを調べる手法も確立されていなかった。そこで演者らは、これらの課題を解決すべく、本菌の性状解析で得られた情報をもとに、本菌に特異的な検出・同定法、および効率的な分離法を構築した。その上で、野生動物を対象にした保菌調査を実施し、野生アライグマが本菌の自然宿主の1つであることを明らかにした。さらに、環境要因も考慮した分子疫学研究により、本菌の環境中での動態解明に資する知見も得られた。
 また、微生物は変異や外来遺伝子の取り込みを通じて環境に適応しており、これが新たな病原性の獲得にも繋がる可能性がある。本菌においても同様に、分離株の性状解析を進める中で、新たな形質を持った菌株が見つかっている。
 本講演では、E. albertiiを取り上げて、これまでに得られた成果と現状について紹介したい。

問い合わせ先 橘(083-933-5752)
tmasato@yamaguchi-u.ac.jp

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