山口大学 中高温微生物研究センター

社会実装への取組み

SDGsに向けた課題解決など社会実装・社会還元の取組み

「社会実装、社会還元」は本センターの大きな使命であり、センター規則第2条で目的として規定しています。特にSDGsの実現に貢献できる取組みを重視しています。

発酵微生物部門

耐熱性発酵微生物の利用を重要課題としており、耐熱性および耐熱化発酵微生物の分離と育種、それらを利用した高温・ロバスト(酢酸・エタノール・アミノ酸)発酵系、有用物質生産系の開発を目指しています。これらはSDGs目標の「No.7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、「No.9 産業と技術革新の基盤を作ろう」、「No.13 気候変動に具体的な対策を」の解決に貢献します。

ロバスト化した安定生産菌株の確立による微生物産業の革新:石油化学からバイオ化学への真の転換を可能にする頼れるバイオの確立

  • 発酵熱による温度上昇に耐えられる耐熱性微生物を利用することにより発酵槽の 冷却が不要になり、温室効果ガス排出の少ない発酵プロセスを構築することができる
  • バイオエタノールは再生可能エネルギーとして期待されている
  • 微生物由来セルロースはプラスチックの代替品として期待されており、その生分解性により環境負荷を低減させる

環境微生物部門

環境浄化を重要な課題としており、感染土壌・排水・排ガス・消化汚泥・廃棄バイオマスの処理・浄化、その処理プロセスを利用した有用バイオ燃料(水素・メタン・エタノール・バイオディーゼル)の生産法の確立を目指しています。これらはSDGs目標の 「No.6 安全な水とトイレを世界中に」、 「No.7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、「No.9 産業と技術革新の基盤を作ろう」、「No.13 気候変動に具体的な対策を」の解決に貢献します。

環境浄化は地方行政・社会的安全への貢献、バイオ燃料生産は新規産業の展開への貢献

  • 微生物のはたらきを解析することにより、廃水中の有害物質を低減させる仕組みを提案する
  • 微生物を利用して未利用バイオマスから得られるバイオ燃料は再生可能エネルギーとして期待されている
  • サンゴに共生する微生物を解析することで海洋の環境保全に貢献する

病原微生物部門

感染症阻止を重要な課題としており、その原因となるウイルス・細菌・原虫の分離に加え、それらの血清診断法の確立、それらの媒介に係る(節足)動物の疫学調査に基づく感染ルートの解明を目指しています。 これらはSDGs目標の 「No.3 すべての人に健康と福祉を」、「No.13 気候変動に具体的な対策を」の解決に貢献します。

公衆衛生・社会的安心の実現に貢献、診断法の確立は産業とも関連

  • 植物病原微生物の解析により持続可能な農業を提案する
  • 新たな診断法の確立により、微生物が原因となる疾病の迅速な診断、治療が可能になる

共通基盤研究・開発部門

部門横断型の研究を強化推進するため、2022年度に新設した部門です。
当センター保有微生物資源の活用を促進することで、発酵・環境・病原微生物といった各専門分野の研究を有機的に結びつけ、情報科学的アプローチなども活用しながら、当センター全体の研究開発能力を最大化することを目指します。さらには、国内外の大学・企業・公的機関との連携を促進し、当センター保有微生物資源の活用を展開することで、SDGsの達成に向けた大きなうねりを生み出す原動力となることを目指します。

  • 部門横断的な研究を推進するという役割を通して、複数の分野を結びつけ、新しい技術やイノベーションを生み出すための協力関係を築く
  • 当センターが保有する多様な微生物資源の活用を幅広い分野に展開させ、新たな研究開発手法を構築することで、技術革新を支える強靭な研究基盤を目指す
中高温微生物センターの社会的要請とその目指すもの

気候変動を抑える高温発酵技術の社会実装に向けた取り組み

地球温暖化ガス発生量削減に向けたスケールアップ発酵試験

環境微生物を利用した廃棄物処理による社会実装の取組み

1)極限環境藻類を利用した廃棄物からの有価金属の回収

藻類のいくつかが、レアアースを細胞外に付着させ、高効率で金属を回収出来ることが分かってきた。廃棄物を溶解させた強酸性溶液内で藻類を培養して有価金属の回収を試みると共に、バイオマス生産も行うことができる可能性がある。


2)油脂蓄積藻類を用いた生活排水高度処理・エネルギー生産技術(県内企業との産学連携)


人獣共通感染症克服のための制御及び対策に基づく社会実装の取組み

1)節足動物媒介感染症の伝播阻止による「公衆衛生・社会不安の除去」に向けた活動


2)酵母を用いた多種類のウイルスタンパク質の安価な製造法とウイルス検査薬の開発

これまで分解されて生産できなかったHBsLの生産に成功した。この生産系は、他のウイルスタンパク質の生産にも応用でき、培養生産工程の開発は十分に進めることができた。また、酵母の自立的破砕にも成功した。今後、タンパク質の抽出、精製工程の技術課題に着手し、検査薬を含むバイオ医薬品の製造システムの確立を目指す。

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